第17章 陽だまり
~菅原side~
大地、急にどうしたんだろ。
さっきまでは普段と変わらない感じだったのに。
主将である大地が練習抜けるとか、今までそんな事なかったのにさ。
上着まで羽織って外に出て、それほど体調崩してるとか、そういう事?
清水を呼んで連れて出るんだから、まさか・・・病院行くとか?!
なんか凄い心配になってきた。
2人が戻って来たら、様子を聞いて、具合い悪そうなら今日は帰って体を休めろって言ってみよう。
そう決意した所に、清水が戻って来る。
あれ?清水・・・ひとり?
そこに大地の姿がない事に、ますます不安になる。
「清水!!」
オレが呼ぶと、清水はチラリと目線を寄越し歩いて来る。
清「菅原、澤村が練習よろしく頼むって」
何その遺言みたいなの?!
清水はオレにそれだけ伝えると、自分の仕事に戻ろうとする。
「清水!だ、だ、大地は?!もしかして病院行ったとか?!」
清水を腕を掴んで引き戻し、周りに聞こえないように小声で聞いてみる。
清「は?何が?とりあえず離して」
あぁ、ゴメンゴメンと返しながら、清水からの状況報告を待つ。
「清水・・・?」
オレがもう1度声をかけると、清水は小さくため息をついてオレを見た。
清「澤村は、ちょっと手が離せない用事」
「え?具合いが悪いんじゃないの?」
清「違う」
それだけ言って、またクルリと背中を向けようとする清水を捕まえて、体育館の端に移動した。
「どういう事?手が離せない用事って?重要な事があるとか?」
次々に質問すると、清水はちょっと困惑した顔を見せながら、オレと向かい合う。
清「澤村は、あの子、城戸さんと話し合う事があるからって部室に行った」
そっかぁ、紡ちゃんと話しかぁ・・・
具合いが悪いとかじゃなくて良かっ・・・
・・・えっ?!?!?!
紡ちゃん?!?!?!
「ちょ、ちょっと待って清水?!どういう事?!部室に行ったって?!えっ?!」
衝撃の報告に驚き、清水に詰め寄ってしまう。
清水は今度は大きくため息をつき、オレを真っ直ぐに見る。
清「だから、城戸さんが外に来ていて、澤村が話し合いをするのに部室に連れてった。城戸さんは澤村に練習を優先にして欲しいって言ってたけど、菅原がいるから大丈夫だって」
部室に・・・2人で?!
「2人っきり・・・って」