第5章 霹靂
私はサイドボードに近づき、暫くの間眺めてから、その写真立てをそっと伏せた。
再びベッドへ戻ると、もう一度スマホを取り出し、あの人の連絡先を表示する。
もしかしたら、こちらから連絡する事があるかも知れない。
いやいやいや、それはきっとないだろう。
でも・・・
もしかしたら・・・
そんな葛藤を繰り返したのち、気持ちを落ち着かせ、きっともう連絡などしてこないだろう相手の連絡先を表示させる。
もう一度、目を閉じる。
もう何度目かという深呼吸をした後、表示された連絡先を、微かに震える指で消去した・・・。
さよなら、ハジメ先輩・・・
・・・さよなら・・・大好きな人・・・
ベッドの脇にそれを置くと窓辺に立つ。
窓を開け、大きく伸びをした後、私は流れる雲をずっと眺めていた。
いま、ひとつの恋が終わった・・・