第5章 霹靂
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・・・その夜の城戸家リビング・・・
桜太がコーヒーを飲みながらのんびりしていると、風呂上がりの慧太が頭をガシガシ拭きながらリビングに入ってくる。
何となく視線を感じで桜太が振り返ると、慧太が難しい顔して立っていた。
桜「何そんなに難しい顔してんの?」
慧「いや、まぁ・・・」
桜「コーヒー飲む?」
慧「あ、あぁ、頼むわ」
桜太はキッチンへ向かい、慧太の分のコーヒーを入れると戻ってくる。
桜「はい」
慧「おぅ、サンキュ」
とりあえずはソファーに座り、難しい顔のままコーヒーを啜る。
桜「で?難しい顔の慧太君は、どうしたのかな?」
慧「お子様な呼び方やめろよな。・・・あのよぅ、紡の事なんだけどさ・・・アイツ、あの日に何があったんだ?」
やっぱりその事か・・・という顔をして、桜太はソファーに寄りかかった。
慧「あんなにびしょ濡れで、目は真っ赤で帰ってきて、風呂から出たら桜太に抱きついて大泣きしながら眠っちまうしよ」
桜「・・・わからない?」
桜太の問いかけに、分かってたらわざわざ聞かねぇし・・・とボヤきながら不満そうな顔を見せる。
桜「俺は分かっちゃったけどね。ま、なんとなーくだけど」
桜太はすぐに分かったのに、自分だけまた分からない慧太は、ますます不満気なる。
桜「分からないなら、分からないままでもいいさって事だよ」
慧「どういう事だよ・・・全然分かんねぇ・・・」
桜太は飲み終えたカップを洗いながら、慧太はまだまだだねぇ・・・と不敵な笑みをこぼした。
慧「なっ、なんだよそのムカつく笑い方はっ!」
桜「ん~?教えてや~らない。フフッ・・・慧太はニブチンのままでいいって事かな?じゃ、いつまでもパンツ1枚でうろついて紡に怒られる前に部屋に戻れよ?」
不敵な笑みをしたまま、桜太はリビングから出ていった。
慧「あぁもぅ!訳わかんねえよ!」
そうこぼすと、慧太はガシガシと頭をかきながら、カップに残ったコーヒーを飲み干した。