第17章 陽だまり
~澤村side~
いま、影山から話を聞いて・・・
俺はちょっと自分の耳を疑っていた。
影山はいま、外に城戸さんがいるかも知れない。
そう言ったか?
・・・言ったよな!
思わずドアの向こうを想像して、ジッと見てしまう。
あの向こう側までは、来てくれたんだろうか・・・
「影山、見てきていいぞ」
ここはやっぱり、普段から仲がいい影山に声をかけさせる方が無難だろう。
そう思って、影山に声をかけた。
影「いえ、澤村さんが行った方がいいと思います。もしホントに城戸だったとしたら、その方が」
そうなのか?
まぁ、そう言われると、そんな風に思えても来る。
マネージャーの話を切り出したのは、他でもない俺だ。
「・・・わかった。俺が行って来よう。影山はこのままサーブ練習に入れ」
影「分かりました。よろしくお願いします」
影山を練習に入るように促し、俺もスクイズを置きにステージまで戻る。
菅「影山、どうかしたの?」
2人で話しているのを遠目に見ていたスガが、心配そうに聞いてくる。
「ん?大した事はないよ。いや、大した事でもあるのか」
菅「大地、言ってる事が変なんだけど?」
ホントに城戸さんなら、スガにもすぐに教えてやりたい。
でも、城戸さんがここに来た理由が、俺達の期待している答えとは違う方向だったら・・・
そう思うと、結論が出るまではスガにも話せない、よな。
「スガ、悪いけど。ちょっとこの後の続き頼む」
菅「え?それはいいけど、大地は?」
「ちょっと野暮用。・・・おーい、清水!」
念の為に、スガの補佐として清水を呼ぶ。
清「澤村、なに?」
いつもと変わらず淡々と答える清水に、ちょっとこの場を離れるからスガの補佐を頼むと、ひとつ返事で頼まれてくれる。
「準備出来たか?!出来たらサーブ練習開始!!」
「「ッス!!」」
俺の声を合図に、それぞれがボールを使い始め体育館の中に音が鳴り響く。
「じゃ、後は頼んだ」
そう言って俺はドアの方へ歩き出す。
菅「急に外に出るとか、大地トイレかなぁ?お腹壊したとか?」
いや、そうじゃないから。
清「知らない。菅原も練習始めなよ。仮にも副主将でしょ。サボるな」
菅「分かってるよ。ってか、仮にもって何だよ清水~!」
2人のやり取りを耳にしながら、俺は静かに扉を開けた。