第17章 陽だまり
~影山side~
澤「全員集まった所で、体操始めるぞ!」
澤村さんの声に、それぞれが準備運動のために集まってくる。
・・・城戸は、やっぱり来ないのか?
昨日あんなに泣きながら話をして、少し考えたいと言っていた。
出した結論が、今日、姿を表さない事で証明されたのか。
・・・もしかして、俺のせいか?
2人で話している時、俺は自分の感情むき出しで岩泉さんのことを責め聞いた。
及川さんの事も。
バレーの事も。
城戸は岩泉さんの話を切り出した時、違うと答えた。
けど・・・
俺はアイツの目が揺らいだのを見てしまった。
まだ・・・心のどこかで岩泉さんの事を、微かながら想っているんだと感じた。
だから話の流れの中とはいえ、思わず抱きしめた。
城戸はそれに抵抗するでもなく、腕の中に閉じこまったままだった。
・・・それだけ、傷付いていたって事なのか。
いや、傷付けたのは・・・俺、か・・・?
思わず、伸ばした腕を見つめる。
昨日、この腕の中に城戸はすっぽり収まっていた。
元々城戸が小柄なのは分かってたけど、あんな風に目の当たりにすると、想像以上に・・・小さくて、細っこくて・・・柔らかくて・・・
きっと力いっぱい抱きしめたら、壊れてしまいそうで・・・
まだ、その感触が・・・残って・・・いるようで・・・
日「・・・山!おいっ?!影山ってば!!」
チッ・・・
「日向テメェ!耳元でギャーギャーとウルセェんだよ!!」
日向の頭を掴み、メキメキと力を入れる。
日「オレは何回も影山を呼んだのに!」
「アァ?!」
日「呼んでも呼んでも気が付かないし!両手伸ばして何か考えてっし!なんだよソレ!召喚でもするのか?!」
「ウルセェんだよ!!」
お互い掴み合い、大声で叫ぶ。
すると俺達を見た菅原さんが慌てて近寄って来た。
菅「オイオイ、2人ともやめろって!・・・ほ、ほらっ、大地が見てるから!」
菅原さんにそう言われ、日向と2人ぎこちなく振り向く。
腕を組み据わった目でこっちを見ている澤村さんの黒いオーラに寒気を覚え、掴んでいた日向をパッと離した。
菅「2人1組で柔軟するから、ほら、日向はオレと組もう。影山は大地のとこに行って」
「え、澤村さんとですか?」
俺が言うと、菅原さんが苦笑いを見せた。