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【 ハイキュー !!】~空のカタチ~

第16章 初めの1歩


澤村先輩はフッと小さく息をつき、体制を整える。

澤「これで2回目、だね?城戸さんのおてんばぶりが証明されちゃったワケだ」

そう言って澤村先輩が笑う。

『すみません、そそっかしくて。気をつけます・・・』

影山の背中から、声だけで答える。

菅「そう言えばさ、紡ちゃん。あんなにダッシュで来たけど、何かあった?」

菅原先輩に言われ、当初の目的を思い出した。

『そうなんです!えっと、影山と話した後、自分を落ち着かせてからリビングに行ったら桜太にぃにみんな帰ったよって言われて。それで、挨拶もろくに出来なくてすみませんでした!』

矢継ぎ早に言って頭を下げる。

菅「そんな丁寧にしなくても、なぁ、大地?」

菅原先輩に言われ、澤村先輩も頷いた。

澤「でもさ、礼儀正しいのはいい事だよ」

そんな言葉を貰い、私は安心して元の姿勢に戻った。

『それから、澤村先輩達にひとつ聞いてみたい事があって』

私がそう言うと、“ 俺達に? ”と言って視線を合わせてくれる。

『澤村先輩も菅原先輩も、私がバレー経験者だって知って、それで・・・それを知った上で、女子部に勧めたり、突き出したりしなかったのは、どうしてですか?』

私がまっすぐに言うと、2人は顔を見合わせる。

菅「それは・・・」

『こんな事を言うのは失礼だって分かっています。でも、言わせて下さい。女子部はそれほど強いわけでもなく、部員数もギリギリに近くて、きっとバレー経験者がいたら勧誘に走ってるはずです。それを澤村先輩達は分かっているのに、どうしてですか?』

沈黙が、怖い。

言い過ぎたと思っても、既に言ってしまった事に後悔は出来ない。

変わらず沈黙が続いているのが、怖かった。

『失言でした、すみません。忘れてくだ、』

澤「必要だから」

私の言葉に被って、澤村先輩が言った。

『え・・・?』

もう一度、澤村先輩を見る。

澤「城戸さんの事が俺には、いや、俺達には必要だと思ったから。だから女子部には渡せないし、もし、こっちに入部してくれたなら、全力で守るよ」

菅「そうだね・・・オレも大地と同じ気持ちだよ」

2人とも穏やかに微笑んで、そう答えてくれる。

澤「これが質問の答えじゃ、ダメかな?」

『いえ、ありがとうございました』

胸の奥が暖かくなるのを感じて、私は自分の手をそっと胸に当てた。

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