第16章 初めの1歩
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気持ちを落ち着かせてからリビングに降りようと思ってたんだけど。
まさか、みんながもう帰っていたなんて予想外で・・・
澤村先輩には、聞いてみたい事があったんだけどな。
そんな事を考え、表通りへと繋がっている路地を走る。
何だか今日は走ってばっかり。
今朝も同じ様に走って影山達の3対3を見に行ったんだよね。
そう思い出しながら前を見ると、少し離れた所に3つ並んで歩く影が見えた。
・・・いた!
『か、影山!!待って!!』
走りながら叫んだせいか、思いのほか声が大きかったらしく3つの影が同時に立ち止まり、振り返った。
とりあえず足を止めてくれた事を確認できたから、私も呼吸を整えるためにその場で立ち止まった。
はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・
準備運動ゼロからのダッシュで、クラクラする。
オマケに慌ただしく飛び出したせいで、サンダルでのダッシュ・・・
私はそばにある壁に軽く手をついて、ちょっとしゃがみ込んだ。
パタパタと足音がして、目の前に3人の靴が並ぶ。
影「おい、何してんだ」
頭の上から影山が声を落とす。
『あはは・・・ちょっと疲れちゃった』
顔を上げながら言うと、影山にため息を吐かれる。
澤「大丈夫?立てる?」
『あ、はい。すみません・・・』
澤村先輩が屈みながら手を差し出してくれたから、私はそれに甘えさせて貰い立ち上がった。
・・・けど。
『わっ!』
タイミング悪く、プツンっと音と共にサンダルのストラップが切れた。
澤「っとと」
転ぶ!・・・と思ったものの、その衝撃はなく。
私は大胆にも澤村先輩に飛び込む形で抱きついていた。
澤「ホントに大丈夫?ケガはない?」
『は、ハイッ。重ね重ねホントにすみませ・・・』
言いながら顔を上げると、至近距離で澤村先輩と目が合って・・・
お互い驚きながらも、視線が外す事が出来なかった。
菅「はいは~いお2人さん?そのくらいにしときなよ?」
菅原先輩の声に私達はピクリと反応し、お互いザッと離れる。
か、顔が熱い。
恥ずかしい。
澤村先輩を見ると、片手で顔を覆いながら横を向いている。
影「っとに、何してんだか」
影山はそう言いながら、スルリと私の前に入り込んだ。
澤「まぁ、ケガしなかったことは良かったかな。だけど、」