第16章 初めの1歩
~城戸家のリビング~
紡の部屋から、澤村君と菅原君だけが戻った来た。
軽くどうだったのか聞くと、ここへ来た目的は果たせたようだ。
結論は出なかったとしても、だ。
澤「あの、やっぱり2人にするのはまずかったですよね?」
言いながら立ち上がろうとする澤村君を制し、俺は首を振った。
「紡が大丈夫って言ったんなら、大丈夫だよ」
菅「でも・・・」
「大丈夫だから」
もう一度そう言って、チラリと慧太を見る。
「もし何かあったら、そこのコワーイお兄さんが走って行くから」
笑いながら伝えると、ようやく2人とも安堵の顔を見せた。
「澤村君、菅原君。もし紡が断って来てもガッカリしないで欲しいんだけど、どう?」
澤「それは勿論です。な?スガ?」
菅「はい。断られる位で、ガッカリとかそういうのないです。例えバレーの繋がりではなくても、オレ達は紡ちゃんと仲間でいたいですから」
「ありがとう。それで、もし、時間がかかっても紡が引き受ける事を決めたら、その時は暖かく迎え入れてくれる?」
澤「勿論です。そうなったら・・・いいんですけど・・・」
澤村君の言葉に菅原君も首を縦に振る。
「ありがとう。紡は君達みたいな人に囲まれて、幸せな妹だ・・・そうだ!これからの事もあるし、もし迷惑じゃなければ連絡先を交換しない?」
澤「あ、はい!是非!」
菅「オレもいいですか?」
2人の言葉に頷いて、ポケットからスマホを出し、お互いに連絡先を交換した。
「何かあったら、電話でもLINEでも連絡してきていいからね?勉強教えてーとかでもいいよ?仕事で留守じゃなければ、いつでも。特にふたりは3年生だから、これから勉強も部活しながらだとシビアでしょ?」
澤「本当ですか?!それは助かります・・・って、そんな事までして貰ったら悪いような」
慧「おー、そんな事は全然気にしなくていいぞ?むしろ勉強も見て貰っとけ。桜太先生様に教わると成績抜群に伸びるぞ!紡がその成功例だからな。それに、高校までガチガチに部活やりながらストレートで医大に入ってそのまま医師免許まで取る強者だしな」
笑いながら会話に入ってくる慧太に、2人とも目を輝かせていた。
「そんな大袈裟な。やっぱり慧太は脳みその熟成期間が長いんだな」
そう言ってみんなで笑っていると、リビングのドアが遠慮がちに開けられた。
