第16章 初めの1歩
「紡はね、学校では分からないけど、家ではほんとにポワンとしていて甘えん坊だよ。あ、俺が言ったのは内緒ね?絶対怒るから」
そう言って更に笑う。
そんな中、リビングのドアがガチャりと開けられ、テーブルにいる俺達は驚きながらもドアを振り返る。
「なんだ、慧太か。ビックリさせるなって」
慧「なんだって何だよ。話し声がするなぁと思ってたら来客中だったのか?って、お?影山じゃん」
影「ちわッス」
菅「え?なに?影山、知り合い?!」
影「まぁ・・・」
シャワー上がりなのかラフな格好で髪をタオルで拭きながら慧太がリビングへはいってくる。
他の2人は慧太は初顔合わせだから、簡単に紹介と、どうしてここにいるのかを説明した。
それぞれが挨拶を交わし、慧太もテーブルにつき、話に加わる。
慧「紡をマネージャーにねぇ・・・」
それだけ呟いて、慧太は腕を組む。
「そう言えば、紡は?」
慧「オレと入れ替わりで汗流してるから、そのうち出てくんだろ?あ、そうだ桜太。アイツ今日、あちこちぶつけてるから応急頼むわ。右膝の辺りと、左肩の後ろ」
「了解。慧太、怪我だけは気をつけろっていつも言ってんのに。今日はどれくらいだったの?」
慧太言われ、紡が来たらすぐ手当出来るように救急箱を用意するために立ち上がった。
慧「あ?今日?最初はひたすら気が済むまでサーブ打たせてて、その後レシーブ300位」
澤・菅「「レシーブ300?!」」
慧「そ、300。お陰でオレの右腕がもげるかと思ったわ」
菅「それはオレ達でもキツイよな?」
澤「あぁ」
菅原君たちが小声で話すのが聞こえる。
確かにキツイだろうと思うけど、でも紡は言い出したらやり遂げるまで、頑張っちゃうんだよねぇ・・・
そんな事を考えながら、救急箱をキッチンカウンターに乗せた時、バタンっと盛大な音をたててリビングのドアが開けられた。