第16章 初めの1歩
~城戸家のリビング~
さて、そろそろ着く頃かな?
俺は時計を見て、これから来るメンバーを予想してお茶の支度をする。
名前しか聞かなかったけど、恐らく部長であろう澤村君、道案内をする影山君。
それから、これも恐らくだけど一緒に来るだろう菅原君。
まぁ、紡に電話くれたのは菅原君だから、恐らくもなにも3人で来るのは確実かな?
影山君から連絡貰ったのは、時間的にも部活が終わってからだから、きっとお腹空かせてると予想して軽食も用意してある。
本当は、すぐに紡に声をかけて話を聞くべきなんだろうけど、とりあえず今は慧太とコートに降りてるし、俺だけで先にどういう意図なのかを聞いてみるのもアリだと判断した。
やかんをコンロにかけた所で、インターフォンが鳴る。
モニターに影山君が映っているのが分かる。
「いらっしゃい、今、開けるから」
モニター越しに応答して、俺はリビングを出た。
玄関を開けると、緊張した面持ちで予想した通りの3人が立っている。
影山君に、菅原君、そして3人目が初顔だから、彼が澤村君だな。
さすが男子バレー部、と言うべきか、それなりに背が高く、そして程よく筋肉質な体をしている。
澤「先程は急な電話で、大変失礼しました。澤村と言います」
彼のひと声で菅原君と共に頭を下げてくる。
菅「ちょっと、影山もだよ!」
1人ぼんやりする影山の頭を押さえるように菅原君が呟く。
「あはは、これはご丁寧にどうも。いきなり噛み付いたりしないし、そんなに畏まらないで。ね?」
そう言って笑うと、影山君以外の2人はホッとした顔を見せる。
「それよりさ、とりあえず中に入らない?いまお茶も用意してるとこだから。さ、どうぞ?」
澤・菅・影「「「お邪魔します」」」
丁寧に挨拶しながら、3人とも靴を揃えて上がって来る。
さすが運動部、そういうところもちゃんとしてるんだな。
俺は感心しながら3人をリビングへ案内した。
リビングのドアを開け3人を入れ、とりあえず荷物を適当に置く様に指示をする。
「そうだ、テーブルに座る前に3人とも手洗いしておいで?場所は・・・影山君、案内してくれる?その間にこっち用意しとくから。頼んでいいかな?」
そう言うと影山君はひとつ返事で2人を連れて洗面所へ向かう。
それを見て俺はキッチンに入った。