第16章 初めの1歩
「あ、俺知ってます。城戸のお兄さんの連絡先」
菅「えっ?!マジで?!ってか何で?!」
「何でって言われても、まぁ、日向の事とか、いろいろっス」
別に今すぐ特訓して貰った事なんか話さなくてもいいだろうと思って、言わずにいた。
澤「・・・じゃあ、悪いんだけど、影山。ちょっと連絡取って貰えないか?もしうまく説明出来なかったら、俺が電話代わるから」
「分かりました。とりあえず先に電話してもいいか聞いてみます。仕事中とかだと、アレなんで」
そう言って俺は鞄からスマホを取り出し、桜太さんにLINEを送ってみた。
“ 影山です。すみません、ちょっと聞いて欲しい事があるので、電話してもいいですか?
”
仕事中だと悪いと思って、たったそれだけを送信した。
するとすぐに返信があり、5分くらい待ってくれって書いてある。
菅「どう?返事来た?」
「5分くらい待って欲しいって返信来ました」
澤「分かった。・・・清水!それから縁下も!ちょっとコッチ手が離せないから中の事を頼む!終わったら先にあがってくれて構わないから!」
澤村さんの声に、2人が頷き片付けを進める。
俺も手伝わなくていいのか?と少し思ったが・・・
この状況では、そうもいかないだろう。
?!
手の中でスマホが震える。
着信の相手を見ると、それは桜太さんからだった。
「はい、影山です」
桜 “ ごめんね影山君、お待たせしちゃって ”
「いえ、全然大丈夫っす。それより桜太さん、いま話していて大丈夫ですか?もしかして仕事中とか・・・」
桜 “ あぁ、それは大丈夫だよ。今日は本当は昼からだったんだけど、連休だったから早めに行って仕事してたら終わっちゃったから、もう家にいるよ ”
医者っていう仕事は、どういうシフトになってるか分からないけど、総合病院ともなるといろいろ都合があるんだな、と、勝手に納得する。
桜 “ それで、話って言うのは? ”
ダイレクトに桜太さんが聞いてくる。
どう答えればいいのかイマイチ言葉に詰まり、当たり障りなく、まず城戸の事を聞くことにする。
「あ、えっと、城戸はいま家に居ますか?」
なんて間抜けた聞き方なんだと、自分でツッコミを入れる。
小学生か俺は。
そんな考えを読まれたのか、桜太さんがフフッと笑いを漏らす。
「部の先輩が電話したんですけど・・・」