第16章 初めの1歩
~影山side~
《 今日はここまで! 》
澤村さんの声に、全員の動きが止まる。
正式に入部が認められた後の、初めてのバレー部の練習は、あっという間に終わった。
それぞれが片付けに入り、俺もそれに続こうとした。
澤「あ、影山ちょっと」
用具室に向かう途中で澤村さんに呼び止められ、駆け足で向かう。
澤「確か影山は、城戸さんと同じ中学だよな?」
澤村さんに問われ、なぜそんな事を聞くのか疑問に思いながらも、頷く。
澤「実はちょっと、影山に頼みたい事があるんだけど・・・」
「・・・?俺に?ですか?」
菅「とりあえずは、コレを見てみてよ」
澤村さんの隣にいた菅原さんから、ノートを受け取る。
見てみろと言われたんだから、と、渡されたノートを開いてみる。
・・・?
城戸の字、だよな?
見慣れた字が、規則正しく並んでいる。
それにこれは、今日の3対3の記録か?
1通り目を通し、ノートを閉じる。
「あの、これは・・・?」
ノートを菅原さんに返しながら、渡された意図を聞いてみる。
澤「実はさ、まだ、どうなるかも決まってないんだけど、彼女にマネージャー入部をお願いしたいと思ってるんだよね」
え?
城戸をマネージャーに?
澤村さんの言葉に驚いて、思わず菅原さんの顔を見る。
視線が合うと、菅原さんはニコニコとしながら頷いている。
「それは、城戸には?」
澤「いや、彼女にはこれから話を聞いて貰いたいと思ってるんだけど、どうだろうか」
菅「清水が言うにはさ、電話じゃなくて直接話を聞いてもらった方がいいだろうって。それに、もしマネージャーになってくれたとしたら、今までより早く学校に来たり帰りが遅くなったりするから家の人にも承諾してもらわないとって」
それはそうかも知れないけど・・・
城戸がバレーを離れた理由が・・・
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『影山は岩泉先輩の事を知ってるから、話してもいいかなって思ったんだけど、聞いてくれる?』
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バレーを離れた理由を何度か訪ねていた時、城戸が寄り道しよっか?と言って公園で打ち明けてくれた話。
途中で涙声を詰まらせて、ちょっと待ってと、辛さを思い出し震える手を押さえながら、打ち明けてくれた話の内容に、俺は衝撃を隠せなかった。
それなのに、城戸を?