第15章 3対3 + 1
オレはとりあえず縁下からノートを受け取り、その場でパラパラと開いてみる。
1番最初の所に、走り書きで何か書いてある。
“ 今日の3対3の記録です。誰も記録してる様子がなかったので個人的に走り書き程度ですが、勝手に書いちゃいました。何かにお役立て下さい。 城戸 ”
今日の記録?
一緒にノートを見ていた縁下と視線が合う。
何となく縁下に早くページをめくれと言われているような気がして、次々にノートをめくって見る。
そこにはノートを見ると今日の対決がすぐに思い浮かぶ様な記録が見やすく解説付きで書いてあった。
更に驚く事に、各セット毎にメンバーそれぞれのレシーブ率やブロック成功率などがおおよその数字で計算されていた。
縁「これって・・・菅原さんの指示ですか?」
目を丸くした縁下がオレに聞いてくる。
「いや、オレは何も・・・これは大地にも見せた方がいいな」
縁「そうですね、大地さん呼んできますか?」
「あぁ、それなら大丈夫。ちょっと大地と相談するから、縁下、いつもの練習メニューを順番にやっててくれないか?」
オレがそう頼むと、縁下はひとつ返事で了承して部員達に声をかけていた。
そしてオレは大地に見せるために、ノートを持って大地の方へと足を向けた。
「大地~、ちょっといい?あと清水も!」
オレが声をかけると、大地も清水もすぐに来てくれる。
澤「どうしたスガ?そんな切羽詰まったみたいに」
なぁ?と、大地が清水に振ると、清水もそれに頷く。
「いいからちょっとコレ見てよ?」
そう言って大地にノートを渡す。
澤「これは・・・キレイな字だな」
「見どころはそこじゃないって!」
大地にツッコミを入れながら、ノートの説明をした。
「これはさ、紡ちゃんが今日の3対3を記録してくれた物なんだけど・・・よく見て?」
大地も清水も、ページがめくられる度に目を見張る。
澤「これ、スガの指示で?」
「違うって。紡ちゃんが何かのお役にってって、個人的に書いてくれてたみたいなんだけど、これって凄くね?」
澤「確かにな。いつも清水が記録してくれてるのも充分にわかりやすく書いてくれてるけど・・・こっちのは、こう、なんて言うかプレイヤー目線の記録だな?」
清「私が教わったのとちょっと違うって感じたのは、きっと書く人の目線の違いなのね?」