第15章 3対3 + 1
《 組めたー!組めたよー!練習試合!!相手は県のベスト4、青葉城西高校! 》
誰?
先生?
いや、その前に今・・・青城・・・って・・・
《君達が問題の日向君と影山君かぁ!》
息を切らせ駆け込んで来た先生は影山と日向君の姿を見つけると、そのまま2人の所へ近付いて行った。
武「今年からバレー部顧問の武田一鉄です。バレーの経験はないから、技術的な指導は出来ないけど・・・それ以外のところは全力で頑張るから、宜しく!」
影・日「「っす!!」」
第一印象、元気な先生・・・かな?
元々が小柄なのもあるのか、バレー部の輪に入ると凄く小さく感じる。
バレー経験ないって言ってたけど・・・
澤「先生、あの・・・」
武「いやぁ。アチコチ練習試合のお願いに行ってたから、全然こっちに顔出せなくて・・・」
きっと、やっとの思いで練習試合を取り付けたんだろう先生は、まだ少し興奮気味にいた。
菅「・・・先生。青城なんて強いところと、どうやって・・・」
菅原先輩と澤村先輩が武田先生の元へ歩み寄り、誰もが思ったであろう疑問を投げかける。
澤「まさか、また土下座を・・・?」
えっ?!
土下座?!
しかも今、澤村先輩は、“ また ”って言ったよね?!
武「してない、してない。土下座得意だけど、してないよ、今回は。ただ、条件があってて・・・」
条件・・・?
先生の言葉に、その場に居合わせた私も、つい聞き耳を立ててしまう。
その条件は、影山をセッターでフルに出す事。
青城から出された条件のメインは、そのひとつだった。
影山をセッターでフルに?
思わず私は影山を見た。
影山はジッと何かを考えているようで、瞬きひとつさえしない。
確かここの正セッターは、菅原先輩だったはず。
なのに、いま入ったばかりの影山を使えって言うのは、どういう?
田「なんスか、それ?!烏野には興味ないケド、影山だけはとりあえず警戒しておきたい?!ナメてんスか?!ペロペロっスか?!」
田中先輩は威嚇しながら、先生に詰め寄る。
その気持ちも、分からなくはなかった。
影山よりも、少なくとも今いるメンバーとの信頼性やプレー経験を考えたら、誰が聞いても不自然だと思う。
青葉城西高校って、北川第一のバレー部は毎年大半が入学する。
更に、影山は協調性に欠けていると思われている。