第15章 3対3 + 1
ちょっとズルイ言い方をすると、抵抗するのを諦めたのか、そっとヒザを見せた。
「あぁ、やっぱり。血は出てないけど、擦りむいてる」
体育館の床との摩擦で、薄皮1枚程度に擦りむけて赤みを帯びている。
とりあえず消毒はしないとね?と声をかけ、その吹き出し口を向けた。
『んっ!』
まだ消毒液は出ていないのに、顔を両手で覆い、体に力が入り固まってる。
「あはは、まだ何にもしてないって。シミないタイプだし、大丈夫!痛くしないから。ほら、体の力抜いて?」
そう言って、患部に消毒液をかける。
残念ながら泡のタイプではない為、吹きかけてすぐにガーゼで押さえると、ピクリとヒザが反応する。
「ね?痛くないでしょ?」
ガーゼで押さえたまま、顔を覗くも、まだ両手で顔を押さえたままでコクコクと頷く。
木「おい縁下、なんかその会話ヤバイ。ヤラシイ」
「はっ?!なんで?!変なこと言うなよ木下!」
いまの会話の流れでヤラシイとこなんかなかっただろ!
全く、木下のヤ・・・ツ・・・?
・・・ん?
・・・・・・・・//////
若干の思い当たる節を思い出し、空いているほうの手で顔を押さえた。
『あの、』
「ぅわっ、は、はっ、はいっ?」
木下が変な事を言われたせいで、妙に意識してしまい、上擦った声をあげてしまった。
自分を落ち着かせるために、軽く深呼吸をしてから、もう1度返事を返した。
「ごめんごめん、なに?」
『あとは自分で出来るので、もう大丈夫です』
「そう?でも、あと絆創膏を貼るだけだから。はい、じゃあ貼るから足出して」
『何から何まですみません・・・』
スッと絆創膏を貼り終わると同時に、小さなため息をつかれる。
「どうしたの?もしかして他にも痛いところあるとか?あっ、絆創膏の貼り方ヘタだった?!ゴメン!」
タイミング的に貼り方の問題かと思い、咄嗟に謝った。
『いえ!違います!すみません紛らわしくため息なんて・・・』
「気にしなくていいよ。それより、ため息なんて、今のでちょっと疲れた?」
使っていた物をまとめながら、軽く笑って見せる。
『あれくらいじゃ全然平気ですよ。ただ、今日お風呂入る時・・・ピリピリ痛いだろうなぁって』
絆創膏を見ながら苦笑して、ヒザを押さえている。
さっきのため息は、それか。