第15章 3対3 + 1
~縁下side~
さっきはビックリしたよなぁ・・・
しばしば繰り返されていた月島の、影山や日向への嫌味と煽り。
俺は影山の中学時代の事なんて知らないけど、なんで月島はあそこまで“ 王様のトス ”とやらに執着してんだ?
そして日向への度重なる嫌味。
確かに日向は小柄だとは思う。
身長が高ければ高いほど有利だと思われているバレーをやっていくには、不利なんじゃ?と思わせるほどに。
田中が対抗しようとするも、大地さんが止めていたし。
ただ・・・そんな中、大きな音を立てながら彼女は立ち上がり、1人、月島に猛反論して。
あんな小さな体のどこにそんなパワーがあるのか、と、驚くほどに。
最後の方なんて、影山と日向を思いながらポロポロと涙をこぼしながら、月島に対して声を荒らげていたし。
それに、影山も・・・
泣きながらヒートアップしていったあの子を止めた時、あんな風に・・・
あの子は、影山の彼女なのか?
いや、でも日向も相当に懐いてる感じがするし。
今だって、そう。
3人でコートに入って、日向が特訓されているのをボンヤリと見る。
俺のジャージ着て、真剣ながらも楽しそうにボールを扱っている。
時折ブカブカの袖を肘まであげながら、日向にボールを打つ。
「へぇ、なかなか上手いんだな」
思っていた事がポツリと漏れた。
田「お嬢は中学までバレー部だったんだ!」
すぐ横にいた田中が、俺の漏らした言葉に反応し、腰に手を当てながら偉そうに答えた。
「なんで田中が自慢してんだよ。それに、お嬢ってなんだよ?」
田「お嬢はお嬢だ。見ろよあの、ひねくれセッター影山でさえ、有無を言わさず従えちまう感じ」
田中に言われ、コートに視線を移す。
あれ?
あの子がトスを上げた?
『影山!軽めにね!』
軸がブレることもなく、キレイに高く、影山の方へ。
・・・っていうか、いまの感じ・・・
「なぁ、いまのトスモーション、影山に似てなかった?」
思わず田中に聞いて見る。
田「あ?トスあげる時なんか、誰でもみんな同じ様なモンだろ」
聞いた相手が悪かった。
セッターの事なんだから、菅原さんに聞けば良かったと、そっと菅原さんの顔を見た。
・・・・・・・・・?
菅原さん?
穏やかな表情をしていても、なぜか切なそうな目・・・