第15章 3対3 + 1
どっちが打つのか?!
思わず前のめり気味になり、食い入るように見てしまう。
見ているうちにボールは放物線の最高点まで上がって行く。
影山が1歩動き出した所で、城戸さんが手で制し落下予測地点へと足を運んだ。
『日向君!!ご褒美ね!』
そう言いながら城戸さんは、日向へのトスを・・・高く高く上げた。
スマン、道宮・・・。
城戸さんの事を道宮に紹介したら、新入部員ゲット~とか言いながら大喜びで飛び跳ねながら喜ぶんだろう、けど。
俺には多分・・・出来そうにない。
問題児なアイツらを、あんなにも上手く取りまとめ、更に田中も簡単に従わせてしまう不思議な力。
清水は清水で、上手いこと転がしてくれてるが、それとは違うんだよな。
ひょっとして・・・ひょっとしたら・・・
今は部に顔を出さない2人のことも・・・
俺はほんの少しの可能性と希望を胸に、清水をみた。
清「・・・?」
あんまりにも見ていたから、ちょっと怪訝な顔されたが。
烏野をいま以上に強くしたいなら、俺も1歩を踏み出さないとな。
過去の栄光に残る、大きな体育館のコート。
俺達の力で、足で・・・このメンバーで!
もう1度、あのコートに立つ!!
そう心で叫び、拳を握る。
この3対3が終わったら、声を掛けてみよう。
だから道宮。
今はそのチャンスを、俺が先に貰う。
はやる気持ちを押さえきれず、タオルを放りながら叫んだ。
「よしっ!そろそろ始めようか!」