第15章 3対3 + 1
突飛な行動に頭を悩ませていると、日向の悲鳴が上がる。
なんだ?ともういちど目を向ける。
『日向君、勝ちたいんだよね?』
日「お、おぅ・・・」
『バレー部、入部したいんだよね?』
日「もちろん!!」
『今のうちに、おさらい、しとこうか?』
日「ひぃぃぃ・・・」
おさらい?それにしても、日向はなんで怯えてるんだ?
『あの、すみません。給水の小休憩まだ時間大丈夫ですか?』
「え?あぁ、本格的な試合じゃないし、あと5分くらいなら大丈夫だよ?」
急に話しかけられ、 ビックリしながら答える。
『じゃあ、お願いがあるんですけど、その間、ボールお借りしてもいいですか?』
「別にいいけど、なに始めるの?」
『ありがとうございます。何始まるかは、まぁ、見れば分かります』
それだけ言い残し、日向を引っ張りながら影山も誘いコートに入っていく。
見れば分かるって言ってたけど、何が始まるんだ?
彼女とと影山はネットに平行に並び、日向のみコートの真ん中。
『日向君!ちゃんとレシーブ出来たら、ご褒美ね!』
そう言いながら日向にボールを打ち込み始めた。
レシーブ特訓?!
とはいえ、返ってくるボールは影山の方にばかりで、しかも方向もまばらだ。
影山と日向の件に関して、スガと田中が何やら手を貸しているのは薄々と分かっていたが、彼女も貢献していたのか。
初めて日向のレシーブ見た時とは、全然違う雰囲気なのは、そういう事か。
『影山!軽めにね!』
影山を呼んで、高めにトスを上げているのを見て、俺は驚いた。
なかなかキレイにトス上げたな・・・って、セッターだったのか?!
「スガ?彼女・・・城戸さんはセッターやってたのか?」
菅「あ~、その辺はオレもあんまり知らないんだよね。何となくイキナリ踏み込んで聞いちゃダメな感じがしてさ」
スガも知らないって、あんなに仲良くしてんのに?か?
『腕だけ振らない!腰落として!』
日「ハイぃぃぃ!」
『ヒザ使う!』
・・・しかし、まぁ、可愛らしい姿してながら、何とも鬼監督だな。
ミニチュア烏養監督のようだ。
・・・・・・本物はあんなもんじゃなかったけどな。
前に経験した烏養監督のシゴキを思い出し、ちょっと身震いする。
そんな事をしていると、日向がレシーブしたボールが影山と城戸さんの間に返って来る。