第15章 3対3 + 1
特に影山と日向に関しては、応援してきただけあって、よく見てる。
更に田中の事なんて、誰もが言わない事をサラッと言ってのける辺りは、いい意味で大物だ。
俺はちょっと好奇心をくすぐられ、少しだけイジワルな質問をしてみた。
「じゃあさ、こっちのチームには、何かない?」
想像もつかない事を言われたのか、急に黙り込まれてしまう。
う~ん、やっぱ敵チームの事なんて、あまり言いたくないか?と思った。
菅「大地、紡ちゃんが困ってるじゃん?」
澤「え?ゴメンゴメン、そういうつもりじゃ・・・ 」
スガの言葉に思わず勢いで返答し、笑って見せた。
『そういう訳では・・・』
別に困ってるわけではなく、どう言葉を組み立てようか考えていたと言われ、個人的な意見で良ければ・・・というので、興味本位に聞く体制になる。
『まずは、メガ・・・月島君。ブロック率はいいし、その他のこともソツなくこなす感じで、特にこれと言って問題点はないように思えました。でも、唯一指摘するなら・・・覇気がない・・・と言うあたりでしょうか』
へぇ・・・なかなかちゃんと見てるじゃない。
っていうか、いま月島の事、メガネって言い掛けなかったか?
チラと月島を見ると、話が聞こえているのか不機嫌な顔で城戸さんをみているが、彼女自身、特に気にしてはいないようだ。
『それから山口君。今のところだと、特に秀でて目立つ所はありませんでしたけど・・・』
山「えっ?!」
・・・山口は山口で、そういう反応か。
城戸さんに手招きされ、オドオドしながら近寄って来たところを、腕を掴まれ更にビクビクしている。
不安そうな目で俺達を交互に見て、なんで呼ばれたのか分からない・・・といった表情を見せた。
月島と山口とは、特に接点はないと思ったけど、今の時間だけで割と細やかに見えてるもんなんだな。
その辺はやはり、過去に選手としてプレーした来た経験からなんだろうか。
『今も、ないの?それとも、今は、ないの?どっち?!』
考え事をしていると彼女自身が声を荒らげた事に驚く。
どうした急に?!
今の少しの間にケンカでも?!
彼女は山口の腕を掴んだまま、ジッと山口を見ている。
山「い、今はない!でも、これからもっと上手くなる・・・かも知れないだろ・・・」
山口は山口なりに、答えを捻るように出していた。