第15章 3対3 + 1
~澤村side~
『澤村先輩!!』
1セット目が終わりスガと話していると、急に名前を呼ばれ振り返る。
逆光のせいか、俺を呼んだ相手がよく見えない。
・・・が、ん?
うちのジャージ?
あれ?
清水・・・はあっちにいるし、そもそも同じ3年の清水が俺を先輩なんて呼ばないよな。
じゃあ誰だ・・・その答えはすぐにわかった。
あぁ、この子だったのか・・・妙に納得し、名前を呼ばれていた事に対して返事を返す。
「どうした?」
『あの、さっきはすみませんでした!』
小さな体を更に小さく見えるほどに頭を下げ、謝っている。
確かにさっきのは驚いたが、そこまで必死に謝る程の事でも・・・
月島だって、挑発や煽りはやり過ぎだったし。
ほんの数秒、考えていただけで、不安にさせてしまったのか、城戸さんの肩が揺れている。
菅「つ、紡ちゃん?!そんなに頭下げなくても大丈夫だから・・・ほ、ほら、大地も!」
スガが慌て始め、俺は笑って返す。
「城戸さん・・・だったよね?」
その問いかけに、頭を下げたまま、ハイと返される。
何だかアレだな、俺がいじめてるみたいで話しにくいな・・・
そう思い、頭をあげるように言うも、何だか落ち着かない様子だ。
『あ、あの・・・怒って・・・ます、よね?』
怖々と言われ、思わず笑い出してしまう。
「この前も思ったけどさ、俺ってそんなに怖く見える?さっきの事は、別に怒ってなんかないよ。月島の挑発や煽りも、ちょっとやりすぎだったし、ね?」
『でも、その挑発や煽りに、乗っかっちゃったのは私なので・・・』
全く、なんて律儀な子なんだ。
日「キャプテン!!」
日向が声をかけながら走ってくるのが見え、その後ろから、影山も?
日「キャプテン!!さっきの事で城戸さんが怒られるなら、オレも一緒に叱られます!オレと影山のせいで城戸さんが怒られるのはイヤだから・・・」
影「・・・ぅす」
全く、3人とも・・・
澤「だから、怒ってないって。それより、日向達が頑張る姿見て、どう思った?」
無理やり話題を変えてしまう様に話を振った。
『どう・・・っていうのは、あの・・・?』
澤「ん?率直に感想とか・・・」
とりあえず話題が変わる様にした事に、疑問も持たず素直に考える姿は、やはり先輩から聞かれたから・・・と言うだけではないようだ。