第15章 3対3 + 1
そう叫んで、影山に聞いたように高く高くトスを上げる。
日「やった!」
元気に叫び、日向君が走り込む。
そして、嬉しそうにスパイクを打った。
『日向君、今のレシーブの感じ忘れないでね?』
念を入れるように確認する。
日「おう!オレ頑張る!絶対に頑張る!」
頑張るを連発する日向君に、思わず笑ってしまう。
澤「よしっ!そろそろ始めようか!」
澤村先輩の掛け声を合図として、1度コートから出た。
『休憩削っちゃったから、しっかり給水取ってね?そして2セット目も、取るよ!』
影・日「「おぅ!」」
田「お嬢はコイツら転がすの上手いな・・・あぁ・・・オレも潔子さんに転がされたい!」
『田中先輩!変な妄想やめてください、気が散ります。その素晴らしい想像力、試合中に戦略にフル活動させて下さい!』
田「ス、スマン、つい」
田中先輩の妄想族を止めると、それ以上にヤル気を出して貰おうと耳打ちする。
『パワー型のスパイク決まった時の田中先輩、とってもカッコイイです。危なく惚れるとこでした』
田「!!!」
田中先輩がギコギコとした動きで私を見る。
田「マジっすか?!」
『大マジっすよ?』
田中先輩の呟きにそう答える。
田「うおぉぉぉっ!!ヤル気チャーーーッジ!!誰もオレを止められネェゼ!!!」
そう叫び走りながらコートに入って行った。
田中先輩の、予想を遥かに超えた効果にビックリしながらも、残るふたりの背中を押す。
影「お前、田中さんに何言ったんだ?」
田中先輩のテンションの高さに、怪訝な顔で影山が聞いてくる。
『ん?まぁ、スパイク決まった時の田中先輩カッコイイって、言っただけなんだけどね』
言いながら田中先輩を3人で見る。
今もなお、ハイテンションで騒いでいる。
“ 第2セット、始めまーす ”
審判役の先輩が声をかける。
私は影山と日向君をコートに向かせると、そのまま背中をポンッと叩いて送り出した。
『行ってらっしゃい!』
2人はその声に反応し、スッと振り向く。
影「あぁ!」
日「おぅ!勝ってくるから!」
そう返事をくれて、そして、私の右手に日向君、左手に影山が力強くバシッ!とタッチをしてからコートに入って行った。
痛いなぁ、もぅ・・・2人とも、力あり過ぎ!
私はビリビリと痺れる手のひらを、そっと押さえた。