第15章 3対3 + 1
『日向君!ちゃんと出来たら、ご褒美あ
げるからね!OK?』
日「ご褒美?!わかった、オレ頑張る!」
返事を待たずに、ボールを打ち込んだ。
2球目、3球目、4球目とボールは影山に返ってくるものの、おかしな方向にばかり返ってきて、その度に影山が走りボールを打つ。
影「お前!ヘタクソ過ぎるだろ!」
日「しょーがないだろ!ちゃんとレシーブしてんのに変なとこばっか行っちゃうんだよ!」
そう言いながらレシーブしたボールが、私の方に大きく弧を描いて戻ってくる。
日向君のやる気を出すには・・・そう思い、チラリと平行線を見た。
とりあえず、これかな?
『影山!軽めにね!』
影山の名前を呼んで、高めにトスを上げてみる。
それを見て影山も理解したのか、ちょっと助走をつけてから、日向君に向けてスパイクを打つ。
日「うわぁ?!」
日向君はそれに弾かれ転がっている。
『影山!軽めにって言ったでしょ!』
影「ワリィ、つい」
絶対悪いとか、思ってないでしょ。
そう思いながらボールの転がった方を見ると、体育館の端まで行っていて、気を使ったのか、田中先輩がそこへ向かおうとしていた。
『日向君!いつまで転がってんの?!ボールは自分で拾う!ダッシュ!!!』
日「は、ハイぃぃぃっ!!」
カバっと起き上がり、持ち前の速さでボールを拾いに行く。
そのままボールをサーブで戻させ、また、レシーブ。
『腕だけ振らない!腰落として!』
日「ハイぃぃぃ!」
『ヒザ使う!』
日「クッ・・・」
あ、ボールがこっちに戻ってきた。
・・・って、あれ?
距離短い?!
私は咄嗟に走り出し、サポーターなんて付けていないことも忘れ、ヒザを床に滑らせながら拾う。
危なかったぁ・・・私が落とすわけにはいかないからね・・・
ボールはとりあえず影山の方に送り、元の場所に戻るまでの時間を稼いだ。
その間も影山が打ち込んだボールを、日向君がレシーブする。
なんで、影山の方にばっかり飛ぶかな。
そんな事を考えていた時、日向君のレシーブがキレイにハマる。
そのボールは、ちょうど私と影山の真ん中辺りに返ってくる。
方向は今ひとつだけど、セッターまでの距離は、及第点かな。
影山には、私が取るからと合図を送りボールの落下点に動く。
『日向君!!ご褒美ね!』