第15章 3対3 + 1
『体育館の温度にすぐ慣れなくて、縁下先輩にお借りしてます。部員専用の大事な物だとは、分かっているんですけど・・・すみません』
澤「あぁいや、着てる事が悪いとかじゃなくてさ、あれ?清水以外にマネージャーいたっけ?なんて、ちょっと錯覚しちゃった」
そう言いながら澤村先輩は笑っていた。
清水先輩以外に、マネージャー、いないの?!
私からしたら、そっちの方が驚きだった。
こんな個性豊かなメンバーの世話を、あの超絶キレイな先輩が1人でこなしてるとは・・・。
日「でもさぁ、なんか城戸さんちょっとエロい・・・」
日向君の言葉に、その場にいた全員が私を見る。
『ひ、日向君?!急になに?!』
日「え?だってなんか、ジャージの下に何も着てないみたいに見える」
菅「そう言われると、紡ちゃん、彼シャツみたいで、ヤバイ・・・」
『なっ!ちゃんと着てますから!!ほらっ!!』
そう言いながら、ジャージをペロンと捲る。
それとほぼ同じ位に日向君が“ ワーッ! ”と叫びながら顔を隠す。
『だから着てるってば!・・・それより日向君?さっきのレシーブは何かな?』
日「えっ?!あ!えっ・・・と・・・あ、あはは・・・」
狼狽えながら一歩下がる日向君に詰め寄り、更に追い詰める。
『日向君、勝ちたいんだよね?』
日「お、おぅ・・・」
『バレー部、入部したいんだよね?』
日「もちろん!!」
『今のうちに、おさらい、しとこうか?』
日「ひぃぃぃ・・・」
怯える日向君を横目に、澤村先輩に声をかけた。
『あの、すみません。給水の小休憩まだ時間大丈夫ですか?』
澤「え?あぁ、本格的な試合じゃないし、あと5分くらいなら大丈夫だよ?」
『じゃあ、お願いがあるんですけど、その間、ボールお借りしてもいいですか?』
澤「別にいいけど、なに始めるの?」
『ありがとうございます。何始まるかは、まぁ、見れば分かります』
そう言って、時間も限られてる事もあり日向君を引っ張り、影山にも声をかけながらコートに入る。
私と影山はネットに平行に並び、日向君のみコートの真ん中。
これならどっち側に跳ね返って来ても大丈夫。
『影山、日向君は高いトスなら・・・打てるよね?』
影「あ?アイツならどんだけ高くても打つだろうな」
それを確認すると日向君の方へ体を向ける。