第5章 霹靂
しまった・・・と、思った時には既に遅く。
「ちょっと、花巻さんの奥さ~ん?ご覧になりました~?」
花「えぇ、えぇ、及川さんの奥さ~ん。ワタクシ見ちゃいましたヮ」
松「ワタクシも見ちゃいましてよ~?何ですの~?あのハートマーク?」
及・花「ねぇ~?」
俺はコイツらに構われるのがメンドクセーと思い、紡には悪いが簡単な返事だけしてポケットにしまい込んだ。
「岩ちゃん、今のってもしかしなくても紡ちゃんでしょ~?」
「うるさい」
花「ってかよぅ、岩泉って彼女いたんだな」
松「なぁ~、今度紹介しろよ~?」
絶対に嫌だ。
及川には端からバレているから仕方ないとしても、残りの2人にアイツを紹介したところで何がどうなるってんだ。
それにもう、俺には決めたことがある。
果たしてこの決断が最良なのかは、誰にも分からない。
だが、覚悟を決めて腹を括らなければ前に進むことさえままならない事もある。
思考回路がグズグズになっていくのを感じながら、俺は合宿所への道を歩いていた。