第5章 霹靂
~岩泉side~
夏合宿というだけあって、普段よりハードな練習を終え、食事や風呂、ミーティングというギチギチに詰まったスケジュールをこなす日々を送っていた。
「はぁぁぁぁ、岩ちゃん今日も疲れたね~」
自販機から飲料水を取り出す及川を横目に、俺はこれからの事をいろいろ考えていた。
夏休みが明けて新学期が始まると、ゆっくりする間もなく大会予選が始まる。
強豪と言われている俺らの学校でも、いまだ勝ち倒せない相手がいた。
白鳥沢学園高校。
そこを倒さなければ、その先はない。
俺達は今まで何度も苦渋を飲み続けてきた。
次こそは、次こそは・・・そう誓いながら。
だが、しかし、俺達にはもう、逃すことが出来ないチャンスが刻々と迫っている。
・・・決断をするべきは・・・今しかないんだろうか。
「岩ちゃん?おーい、岩ちゃ~ん?」
急に目の前で及川が手をヒラヒラさせてきた。
「あ?」
「まっつんとマッキーがコンビニ行こうっていってるよ。岩ちゃんも行こうよ~」
めんどくせー。
そう思いながらも早く早く~っと急かす及川に負けてコンビニに連行された。
特に欲しいものなどなかったから、テキトーにアイスと飲み物を買って先に外に出る。
ふぅ・・・と息を吐いたところで残りの3人も買い物を終えて出てきた。
「あれあれぇ?岩ちゃんため息ついちゃってホームシックですか?そ・れ・と・も、紡ちゃんシックですかぁ?」
ニヤニヤしながら顔を近づけてくる及川を容赦なく殴り、アイスの袋を破る。
「痛った~!なんで殴るの?怒るって事はホントの事言われてるからでしょ~!」
いちいち反論するのも疲れるし、なんせコイツは昔からメンドーなところが満載だから放置する。
喚く及川をムシしながら歩きだしたところでポケットの中のスマホが鳴る。
取り出してチラリと視線をやると紡からのメッセージが届いていた。
« ハジメ先輩、合宿お疲れ様です(*^^*)
今日、この前の模試の結果が出ました。1個だけB判定だったけど、残りの学校はA判定だったんで嬉しくて連絡しちゃいました»
« それでは、明日も練習頑張って下さい♡»
メッセージが2つ、3つ目はパンダが手を振るスタンプが。
なんだよパンダって・・・ほころぶ口元をそっと隠しながら視線を前に戻すとニヤついて画面を覗く3人組・・・