第15章 3対3 + 1
及「そんな不安な顔しながらトス上げたらブロックされるに決まってるじゃん?」
『でも、ちゃんとトス上げられるか心配で・・・』
岩「お前はすぐ顔に出るからな、トス上がる先バレバレなんだよ。自信持ってトス上げなきゃ、スパイカーだって戸惑うだろ」
『そんなこと言われても・・・』
岩「また、その顔。及川みたいに嘘つきの仮面でもつけとけ」
及「ちょっと岩ちゃん!嘘つきの仮面って、ひどくない?!」
岩「とにかく。嘘つきの仮面つけて、せめて動揺してないように欺け」
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『嘘つきの・・・仮面、か・・・』
澤「なに?」
ポツリとこぼした言葉を聞き返すように、澤村先輩が私を見る。
『いえ、何でもないですっ。山口君、ちょっと耳貸して?』
私がそう言うと、山口君はすんなり腰を屈めて耳を貸す。
あんまり、敵に塩を贈りたくないけど・・・このまま自信なさげなのを見るよりは。
私はコッソリ内緒話のスタイルで嘘つきの仮面のコツを伝授する。
自身がない時ほど、それを被れ、と。
『ね?わかった?』
話終わって、確認するように顔を見る。
もともと内緒話のスタイルだったから、普通に話すより距離が近かったせいか、山口君は顔を逸らし気味に返事を返す。
『ほらまた!ちゃんと真っ直ぐ見て返事して!』
言いながら私は山口君をの顔を両手で挟み、至近距離でわかった?と問いただす。
山「わ、わわわかったから!手ぇ離してっ・・・」
あれ?
思わず私、桜太にぃが小さい時の私にやってたみたいに手が伸びちゃったけど、マズった?
ま、いいかと両手を離すと同時に、後ろからグイッと引っ張られバランスを崩しそうになる。
何とか持ちこたえ振り返ると、そうしたのは影山だと、わかる。
『ちょっと影山!危ないでしょ!』
影「るせぇ!お前はイチイチ距離が近いんだよ!!」
『うるさいのは影山でしょ!借り物の上着なのにヤメテよね!!』
そう言い返しながら、ジャージをパタパタと払う。
澤「だからか、なるほど!」
菅「・・・大地?どうかした?」
1人自問自答している澤村先輩に、菅原先輩が声をかける。
澤「さっき声をかけながら走ってきた時、一瞬誰だか分からなかったんだけどさ。それって、うちのジャージを着てたからなんだなってね」
それを聞いて、私も返答する。