第15章 3対3 + 1
微妙な表情で視線を交わされたせいで、私としとも、ちゃんと伝えた方がいいだろうと判断し、考えをまとめた。
『別に、困っていたから黙っていた訳じゃないですよ?なんて説明しようかなぁ・・・って、頭の中でパズルを組み立ててました』
私がそう言うと、澤村先輩はちょっとほっとした表情を浮かべ、“ そっか、よかった ”と呟いた。
『あくまで、私個人の考えですけど・・・それでも良ければ・・・』
そう切り口を見せると、聞きたいと言われ話す体制になる。
『まずは、メガ・・・月島君。ブロック率はいいし、その他のこともソツなくこなす感じで、特にこれと言って問題点はないように思えました。でも、唯一指摘するなら・・・覇気がない・・・と言うあたりでしょうか』
背後にザクリと刺さるものを感じ、そっと振り返る。
私の話が聞こえていたのか、メチャクチャ嫌そうな顔をして月島君がジッと見ていた。
どんなに睨まれようと、何ともないし。
そう自分に言い聞かせるように、ふうっと息を吐く。
『それから山口君。今のところだと、特に秀でて目立つ所はありませんでしたけど・・・』
山「えっ?!」
急に話題に名前が出た事に驚いて、山口君がこっちを見た。
せっかくだから、と、手招く。
山「え、な、なに?」
予想通り、オドオドと警戒しながら歩み寄ってくる。
不安そうな目で私と澤村先輩を交互に見て、なんで呼ばれたのか分からない・・・といった表情を見せた。
私はその山口君の腕を掴んで引き寄せ、更に続けた。
『どうしてそんなにオドオドしっぱなし?さっきの試合中もそうだけど、そんなに人の顔色見てオドオドしてたら狙われるよ。敵チームに山口君がいたら、確実に点稼ぐのに山口君狙う。もっと自信もってプレーしたら?』
山「でっ、でも、オレ今、特別何か上手い・・・とか、そんなのないし・・・」
『今も、ないの?それとも、今は、ないの?どっち?!』
山「い、今はない!でも、これからもっと上手くなる・・・かも知れないだろ・・・」
どこまで自信なさげなんだろ、と、そう思った所で、何か過去の私と似てる・・・そう思った。
リベロからセッターに変えられたあと、及川先輩にも・・・あの人にも、何度も言われたっけな・・・
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及「あぁ、またまた!ダメだってば紡ちゃん!」