第15章 3対3 + 1
日「城戸さぁん・・・」
日向君がショボーンとしながら落ち込む。
『それから王様。精密なトスを上げられる事は分かってたけど、安定にバラつきあるよ?特に後半。精神的疲労が半端ないのは私もわかるけど、実際の試合、特にフルセットまで持ち込まれたら・・・勝てないよ』
日「ププッ、影山が怒られてる」
影「ぁんだとコラァ!!城戸!お前も何度言ったら分かるんだ!」
『あぁもう、また!!ちょっと!2人とも最後まで黙って聞く!!!』
一喝して2人を黙らせると、私は続けた。
『それから、失礼だとは分かっていますけど・・・』
何となく田中先輩の事をアレコレ言うのは言いにくいな、と、躊躇っていると、菅原先輩にポンッと肩を叩かれた。
菅「今後の田中の為を思うなら、言ってやってよ」
にこやかに言われると、拒否することも変かな?と思い、続けた。
『田中先輩は、最初に澤村先輩が言っていたように攻撃力は申し分ないと思います。あと、精神的にも強い・・・かと?ただ・・・』
澤「ただ?」
『ムダに良く分からない雄叫びを、上げすぎかと?気合を入れる、という部分ではいいんですけど、毎回あんな風じゃ、イザって時にスタミナ切れ起こしそう・・・で、す?って、あれ?』
言い終わって澤村先輩たちを見ると、揃って笑いを堪えている。
『私、変なこと言っちゃいましたか?!』
慌ててそう言うと、笑いを堪えて肩を震わせながら、そんなことないからって、返してくれる。
澤「1セット見てきた中で、そこまでの観察出来るなんて、こんな隠し監督を従えていたなんてな」
『監督とか、そういう風に呼ぶのやめてください。そんな力量ないですよ』
澤「じゃ、さっきチラッと聞こえたんだけどさ、お嬢?とか?」
『澤村先輩!!』
思わず大きな声を出した。
澤「あはは!ウソウソ、冗談だよ。それよりさ、こっちのチームには、何かそういうのない?」
こっちのチームって、嫌味なメガネとオドオド君・・・いやいやいや。
月島君と山口君、それに、澤村先輩の事・・・だよね?
無くは・・・ないけど・・・
私が考えていると、困っているように見えたのか、菅原先輩がカバーに入る。
菅「もぅ、大地~、紡ちゃんが困ってるじゃん?」
澤「えぇっ?ゴメンゴメン、そういうつもりじゃ・・・ 」
苦笑いで私を見る。