第15章 3対3 + 1
1セット目が終わった所で、水分補給の為の休憩に入った。
日「城戸さぁん!!勝った!勝ったよ!!」
自分達の力で得点を稼げた事に関して、喜び叫びながら日向君が駆け寄って来る。
『うん!ちゃんと見てた!影山も田中先輩も!』
影「おぅ」
田「うぉぉぉ!お嬢からお褒めの言葉を!」
お、お嬢?!
『田中先輩、お嬢・・・って?』
おかしな呼ばれ方に疑問を感じ、誰の事ですかと問い返す。
田「ふっふっふっ・・・それはだな。こーんな小さい体で、月島みたいな嫌味なのっぽヤローにタイマン張ってくるとか、それはもうお嬢としか!」
ニヤリと笑いながら、田中先輩が迫って来る。
嫌味なのっぽヤローってのは分かるけど、タイマンとか、お嬢って・・・
『田中先輩!おかしな呼び方やめてくださいよ!誤解が生まれるじゃないですか!』
まったくもぅ、と大きく息を吐いた。
田「じゃあ・・・姐さん、と、お嬢、と、どっちがいいかな?」
負けずと距離を詰めながら、そう迫って来る。
どう言っても、きっとおかしな呼び方をやめる気配がない田中先輩に、諦めるしかないのかと
もう大きく息を吐いた。
『分かりましたよ・・・もう、好きなように呼んでください・・・あ!でも、さすがに姐さんはイヤです』
決まりだなと田中先輩が言うと、それを聞いていた日向君は、“ お嬢カッコイイ!! ”などと飛び跳ねながら何度も叫び、影山は背中を見せながら肩を揺らしていた。
『ちょっと王様!あんたは笑いすぎでしょ!』
わざと王様呼びで戒めると、笑いを止めることもなく振り返り、
影「スッ、スンマセンお嬢・・・」
そう言って更に笑う。
行き場のないちょっとした怒りを引っ提げ、影山にパンチを御見舞した。
影「お、お前ナニすんだ!」
『王様が悪いんです』
シレッと言って、そっぽを向きツンとして見せた。
その視界の端に、菅原先輩と話をしている澤村先輩が映る。
そうだった、遊んでる場合じゃなかった!
ねぇねぇ!と私の側をちょこちょこ動き回る日向君に、急ぎの用があるから待っててと言って、澤村先輩の所まで駆け寄った。
『あの!澤村先輩!』
辿り着くのも待ちきれず、駆け寄りながら澤村先輩に声をかける。
その声に驚きながらも、私の方を見てくれた。
澤村先輩の正面に立ち真っ直ぐ見据える。
澤「どうした?」