第15章 3対3 + 1
段々と息苦しさを感じ、静かに深呼吸で酸素を取り入れる。
審判のホイッスルを合図に、澤村先輩がサーブを打つ。
田中先輩がレシーブで影山に繋ぎ、それを見て日向君が走り込み、スパイクモーションに入る・・・
と、同時に?!
体育館の床が鳴り響く。
その振動さえ、伝わって来るようだった。
な、に・・・?
いまの・・・。
ほんの一瞬の出来事だった。
日向君が飛んだ瞬間、影山が上げるトスが日向君に届くと思った、その瞬間・・・。
頭の中で、猛スピードで情報処理をする。
あまりの出来事に、処理スピードが追いつかない。
日「手に・・・手に当たったぁ!!おぉ~!すっげー!!」
その声に、ハッとし、日向君を見る。
日「城戸さぁん!手に当たったよ!!見てた?!」
そう言って嬉しそうに私に大きく手を振る。
日向君、試合中だってこと忘れてる。
あんまりにも嬉しそうにしているのを見て、私は小さく手を振り返した。
澤「お、おいっ・・・いま日向・・・目ぇ、瞑ってたぞ?!」
澤村先輩の驚きの発言に、コート内のメンバが敵味方関係なく、はぁっ?!と声を荒らげる。
その言葉自体、私だって驚愕した。
目を閉じてたって、どういうこと?!
何も見ずに影山のトスを受けたって事?!
月「あの、どういう・・・?」
衝撃の大きさに、月島君でさえ戸惑う。
澤「ジャンプする瞬間から、スイングするまでの間・・・日向は目を瞑ってた・・・つまり、影山が、ボールを全く見ていない日向の手のひらに、ピンポイントにトスを上げたんだ!スイングの瞬間に合わせて、寸分の狂いもなく!」
月「・・・はぁ・・・?」
月島君が変なものでも見ているかの様な顔で
、いまだに喜びはしゃぐ日向君を振り返る。
日「すっげーすっげー!!なぁ何?!今の何?!当たったんだけど?!手に!いま!オレの!」
影「お、おお、おい!お前ェ!目ぇ瞑ってたってなんだぁ?!」
動揺しながら影山が日向君に叫ぶ。
日「お前がボール見るなって言ったんだろー!目ぇあけてると、どーしてもボールに目が行くから」
日向君は影山に、さも言われた通りにボール見ないでやりました、と反論する。
影「っ、確かに言ったけど!」
日「でも今の成功だろ?なにがわるい!」
影「それはそうだけどっ。100%信じるなんて、出来るか普通?!」