第15章 3対3 + 1
お互いに視線を外さず、時間が流れていく。
何を言っても威圧的な態度をされ、まるでこっちが間違っているかと思わせられる。
『背が、高いから偉いの?・・・背が低いからって、制限されるの?・・・そんなの、おかしいよ・・・』
虚しさと悔しさで声が震えた。
月「ナニ?急に大人しくなっちゃって。言いたいことはそれだけ?」
『あなたにはきっと、どんなに努力して、精一杯に手を伸ばしても欲しい物が掴めない人の気持ちなんて・・・分からないでしょう?例えそれが、心の痛みに繋がっていても・・・』
震える手をグッと握る。
『あなたは影山の事を、独りぼっちの王様だと言った。でも、今は違う!荒削りだけど、日向君って言う仲間が出来た・・・』
月「例えそうだとしても、そっちの小さいのが約立たずだったら、変わんないデショ」
影「・・・もういい、城戸」
影山が間に入ってこようとするのを振り払う。
『日向君だって!日向君だって、ずっと欲しかった、高く高く羽ばたける翼をやっと手に入れたのに!』
影「城戸!!」
なおも止めに入る影山の手を振り払い、私は続ける。
『・・・なのに・・・その翼を、意図も簡単にもぎ取ろうとしないで!!!』
影「・・・紡!!!」
影山が大きく叫び、力いっぱい引き寄せ、その腕の中に閉じ込められた。
その強さに、初めて肩が跳ね上がる。
『か、影山・・・?』
恐る恐る、影山の顔を見る。
影「もう、いい。だから、泣きながら俺達を庇うな」
『泣いてなんか!』
?!
影山に言われて、初めて涙が溢れていることに気づいた。
日「城戸さん・・・」
どうして・・・?
なんで私、泣いているの・・・?
縁下先輩に借りている事も忘れ、袖口でそれを拭う。
そんな私を隠すように、影山は背中に隠し一歩前に進み出る。
影「スパイカーの前の壁を切り開く・・・そのための、セッターだ」
影山の言葉に、尚もまだ何かを言おうとする月島君に、私も負けずと前に出る・・・ハズだった。
影「さてと」
影山の掛け声に急に浮遊感を感じた。
『わっ!何?!』
影「お前はちょっと頭冷やしとけ」
そう言って影山が私を小脇に抱えて歩き出す。
『ちょっと!離して!降ろしてよっ!!』
手足をバタつかせ抵抗するも、それは何の意味も持たなかった。