第15章 3対3 + 1
興奮気味に話す田中先輩に、日向君は、それって何ですか?なんて呑気に答える。
その返答に更に田中先輩がいろいろ説明するも、日向君はどうやって打ったか分かんないと笑う。
日「どうやって打ったか分かんないけど、でも、オレ、どんなトスでも打ちますよ!!」
影「合わせたこともないのに、いきなり速攻なんか無理だろ・・・」
影山のひと言に、日向君はちょっとだけ怯む。
日「なんだオマエ、そんな弱気なの気持ち悪い!」
月「王様らしくないんじゃな~い?」
日「いま打ち抜いてやるから待ってろ!!」
空気を読まず皮肉って来る相手に、日向君は同時もせず言い返す。
月「なんでもガムシャラにやればいいってもんじゃないデショ。人には向き不向きがあるんだから、さ。キミ、明らかにスパイカーに向いてないデショ?」
明らかに見下す言い方で皮肉を放つ。
もう・・・・・・私・・・
込み上げる思いに、グッと手を握る。
日「確かにバレーボールには高さが必要。オレは飛んでも飛んでもブロックに止められてばっかで・・・だけど、この体で戦って、もっといっぱい、コートにいたい・・・」
ハァ~、と、月島君が大げさにため息をつく。
月「だから、その方法がないんデショ?」
精神論じゃ、ないんだから・・・とバカにするように言い放つ。
それは日向君だけにではなく、私のことでさえも同じだろ、と、思えてしまうほど、余裕がなくなってきた。
月「気持ちで身長差は埋まんの?。リベロになるなら、別だけど、さ?」
もう・・・無理・・・我慢、出来ない!
私の中で、何かがプツリと音を立てて切り離れる。
・・・ガタガタンッ!!!!!
私は何度も繰り返される挑発と皮肉に、盛大な音を立てながら勢いよく立ち上がった。
一気に視線が集まるのが分かる。
でも、もう我慢出来ない!!
私はツカツカとコートのすぐ横まで近づいた。
『ちょっとそこのメガネ!!』
指差し状態で怒鳴りながら月島君を名指しする。
月「メガ・・・」
いきなりそんな風に呼ばれ、月島君も息を飲む。
『さっきから聞いてれば何なのアンタ?!王様のトス、王様のトスって、バカのひとつ覚えみたいに!!それに、身長が低いからって、それが何か問題?!』
月「だから、身長が低いなら低いなりのポジションだってあるデショ」
低いなりのポジションて何?