第15章 ３対３ ＋ １

影山のサーブ･･･日向君もこの回で少しでも点が取れると思ったのか、安心した顔を見せた。

日「行け～影山！殺人サーブ打て～！」

影山がジャンプサーブのモーションに入る。

バシィィィｯ

よしっ！！いい感じ！！

そう思ったのも一瞬で、悔しくもスッと動いた澤村先輩がボールの勢いを殺しながらレシーブする。

上手い･･･それにキレイなフォーム･･･

レシーブされたボールは、あっという間に攻撃され点を取られてしまう。

澤「何点か稼げると思った？」

そう言って澤村先輩はニヒルな笑みを浮かべる。

影山も日向君もハッと息を飲む。

澤「２年分、お前らより長く体に刷り込んできたレシーブだ･･･簡単に崩せると思うなよ？」

！

日「カッコイイ！！」

『かっこいい･･･』

思わず、日向君とほぼ同時に言葉に出してしまう。

菅「えっ？！」

急に言葉を発した私に驚いた菅原先輩と目が合い、恥ずかしくなって視線をそらした。

田「大地さんの武器は安定したレシーブだ、
守備力は半端ねぇぞ」

田中先輩の顔は、澤村先輩からは点を取れないぞ、と言っているようにも思えた。

確かにあの安定したレシーブを見せられたら、誰しも同じ事を思うだろう。

ブロックでは月島君には叶わない、かと言って、ただサーブを打つだけでは澤村先輩のレシーブに押されてしまう。

それならば、点を稼ぐポイントは１つある。

あの、ちょっとオドオドした感じの山口君をポイントに狙えば少しは･･･

彼の実力はわからないけど、いまここで見ていた中では、特に秀でている部分は見当たらない。

出し惜しみしているとも、思えない。

だったら･･･

月「ほら王様？そろそろ本気出した方がいいんじゃない？」

日「何なんだよさっきから！王様のトスってなんだ？！」

月「キミ、コート上の王様って、聞いたことないの？自己中の王様、横暴な独裁者・・・王様のチームメイトが付けたらしいじゃん？」

ニヤリと嫌な笑みを浮かべ、月島君が言う。

田「テメェ！さっきからうっせーんだよ！」

澤「田中･･･」

月島君の言葉にスイッチが入りかかった田中先輩を、澤村先輩がひと言で押さえる。

その状況を見ながら、私の中では少しずつフツフツと怒りが込み上げていた。

月「せっかくトス上がってんのに、誰も飛んでないんじゃ･･･」