第15章 3対3 + 1
『勝利の女神だなんて、そんな、私なんていなくてもあの2人は大丈夫ですよ?それに・・・』
菅「それに?」
『監督兼コーチ兼、勝利の女神、なんて、忙し過ぎて過労死まっしぐらです』
そう言って笑ってみせると、菅原先輩も、まあ、そう言わずになんて一緒に笑う。
澤「スガ?お前達はいつの間にそんなに仲良くなったんだ?」
澤村先輩が言うと、菅原先輩は急にアタフタしながら、あ~、ん~・・・まぁいいじゃんっと無理矢理まとめた。
そろそろいいか、と澤村先輩が時計を見る。
私はそれを見て軽くお辞儀をし、用意された椅子へと戻った。
日「あっ?!城戸さん!」
私姿を見つけ、日向君が駆け寄ってきた。
『おはよ。昨日は返信できなくてごめんね?その代わり、今日は応援するから頑張って!』
精一杯の笑顔で言うと、日向君は、
日「お、おぅ!オレ頑張るから見てて!」
そう言って両手をブンブンと振り上げた。
澤「よぅし、じゃあ始めるぞ~?月島達の方には俺が入るから」
日「えぇ?!キャプテンが?!」
日向君同様、私もそれには驚いた。
・・・ふぅん、あの眼鏡の嫌味なヤツ、月島って言うんだ。
確か私が日向君にレシーブのお手本を見せた時、田中先輩が澤村先輩の事をレシーブではかなう人はそうそういない・・・そう言っていた。
相手チームにその守備の要が入るという事は、かなり厳しいのでは?
澤「はは、大丈夫だよ、田中の方が攻撃力は上だから」
笑いながら言う澤村先輩をチラリと見る。
田中先輩の方が攻撃力が上だと言っても、守備力あってこその、攻撃への繋がり・・・
向こうの2人がどれくらいの実力があるのか分からないけど、こっちは穴が丸見えなんだから、そこを狙われたら・・・勝ち目は薄い。
私は思いついて、鞄からノートを取り出しこの試合の記録を付けることにした。
月「あ~、小さいのと田中さん、ドッチ先に潰・・・押さえましょうか~?」
聞こえてくる言葉に、ピクリと反応する。
月「あ、そうそう、王様が負ける所も見たいですねぇ~?特に、家来から見放されて、独りぼっちになっちゃった王様も見ものですねぇ?」
その言葉に、思わずペンを握った手に力が入る。
圧力かけて、動揺させるつもりなのか、否か・・・
とにかく、嫌味の大盤振る舞いな言葉に腹が立つ。
精神的に影山を揺さぶるつもりだ。