第15章 3対3 + 1
縁「あれ?もしかして急に声掛けたから俺、警戒されちゃってる?」
『えっ!そう言う訳じゃないです。あの、縁下先輩って、田中先輩とは正反対な感じだなって』
慌ててそう返すと、縁下先輩は、田中はねぇ・・・と苦笑いして体育館を見た。
菅「お~い、縁下~?成田に審判頼んだから、点数係やってく・・・って、紡ちゃん?!」
ちょこんと体育館の入口から顔を出した菅原先輩が、私達2人を見て駆け寄って来る。
『菅原先輩、おはようございます。ギリギリまで迷ってて、ちょっと出遅れちゃいました』
軽く笑って言うと、
菅「それでも、結果的には来てくれたんだべ?それなら結果オーライ!」
そう言って菅原先輩も笑う。
菅「縁下、座っていられるように、椅子、出してくれる?」
『菅原先輩!私なら大丈夫ですからっ。お客さんじゃないし、部外者だし!』
菅「何言ってんの紡ちゃん?今日の紡ちゃんは、影山チームの監督兼コーチなんだから!」
菅原先輩は私に言いながら、縁下先輩に頼むと片手をあげた。
それを見て縁下先輩も、了解ですっと言うように敬礼のポーズをして中へ入っていった。
菅「ササッ、どうぞどうぞ~」
菅原先輩が私の手をひきながら体育館へと歩き出す。
入口まで来ると、スリッパ出すからという申し出に、ちゃっかりシューズ持ってきましたからと見せると、準備万端じゃんと笑われた。
みんながケガなく、1日を終えられますように・・・と願いを込めて、軽く一礼してから足を踏み入れる。
そっと見渡すと、影山と日向君が念入りに体をほぐしている。
縁「城戸さん、だったかな?さ、椅子にどうぞ?」
得点板の横に用意された椅子に案内され、縁下先輩の後について歩く。
椅子に座る前に手荷物だけをそこへ置き、数人いる先輩方に挨拶をした。
『澤村先輩・・・でしたよね?おはようございます』
菅原先輩と談話しているところへ声をかけると、私を見て、声には出さないけど、アレ?という顔をされる。
菅「影山と日向の事が心配で見に来たんだよね~?」
澤「そっかそっか!見学は大歓迎だよ!その方がアイツらもやる気が増すだろうし、ね?」
『すみません、なんか、部外者なのに』
私がそう言うと、気にしなくていいからと笑う。
菅「今日の紡ちゃんは、あの2人の勝利の女神なんだから、いっぱい応援してあげな?」