第14章 眠れぬ夜と揺れる思い
桜「どうして?って、それはね」
慧「もう、紡の事は、友達じゃなくて仲間だと思ってるからだな」
・・・仲間・・・?
桜「そうだね。少なくとも、俺達2人が感じた事だけどね」
慧「お前は同じ様にバレーをやっていないと、そうなれないと思ってるかもしれないけど?実際はそんなの関係なしに仲間は、仲間だ」
友達じゃなくて・・・仲間・・・
2人の話す言葉に、心が軽くなるのを感じた。
それでいて、自分がどんなにちっぽけなんだとも・・・
桜「だからさ、その気持ちを信じてあげてみたらどうかな?」
うん・・・私も信じたい。
私はもう一度だけ、桜太にぃにギュッとして、
『ありがとう・・・』
と伝えた。
慧「おいおい、そこのお嬢さん?慧太様のココ、空いてるんですけど?」
そう言って慧太にぃは、大袈裟なくらいに両腕を広げて待っている。
それを見た桜太にぃが、私の背中をそっと押しやり、行っておいでと言うかの様に穏やかに私を見た。
私は瞳だけで、うん、と答え立ち上がり、
『もう、催促しないでよね』
そう悪態をつきながらも、慧太にぃが広げた腕の中に飛び込む。
慧「っと、勢いつけすぎだろ」
そう言いながらも背中をポンポンしていた。
『慧太にぃ・・・』
呟きながら顔を上げる。
慧「ん?」
慧太にぃが顔を覗き込んでくる。
『あのね、ひとつだけ言ってもいい?』
すると、何かを期待しているのか、おういいぜ!と元気よく返される。
『慧太にぃ、煙草臭いからイヤ!』
軽く胸を押しのけ遠ざける。
慧「な!お前そこは、お兄ちゃん大好き!とかじゃねーのかよ?!」
そのやり取りに桜太にぃは腰を折ってまで大笑いしていた。
『煙草臭いお兄ちゃんはいりませーん。もう寝る!おやすみ!』
言い逃げる様にリビングのドアに手をかけると、桜太にぃが部屋まで送るよとついてきたけど、大丈夫だからとやんわり断わりリビングを出た。
部屋に戻る為に階段を上がる。
降りてきた時とは違い、一段ずつ上がる足が軽く感じた。