第13章 決戦前日
菅原先輩が、人数増えたし階段じゃ何だからと言って、4人ですぐ側の体育館通路に移動することになった。
菅「ここなら人来ないし、4人で向かい合えるでしょ?」
そう言いながらみんなにも座るように促し、それぞれがその場に腰を下ろして、お弁当を広げる。
日「うわぁ、城戸さんのお弁当カワイイね!ご飯がクマさん!ひよこの卵焼きとか、タコさんとか!」
日向君の発言により、菅原先輩が私のお弁当を覗く。
菅「ホントだ~。キャラ弁ってやつ?紡ちゃんってお弁当自分で作ってんの?」
『あ、いえ。今日は違います。自分で作る時もありますけど、今日のは兄が・・・』
兄が・・・といったところで、それまで興味なさげに黙々とお弁当を食べていた影山を含めた全員が驚いていた。
日「お兄さんって、どっち?!桜太さん?!慧太さん?!」
菅「え?紡ちゃんお兄さん2人いたの?」
桜太にぃしか会ったことない菅原先輩に、慧太にぃの事を簡単に説明する。
菅「へぇ~、双子のお兄さんなんだ?!あの
爽やかカッコイイ感じのお兄さんが2人もいるとか、凄いねぇ」
爽やかカッコイイ?
同じこと考えたのか、日向君と影山も一瞬箸が止まる。
桜太にぃはともかくとして、慧太にぃはどちらかと言えば爽やかカッコイイとは程遠いな・・・
日「慧太さんは、ワイルドカッコイイ感じですよ!」
なぜか日向君が自慢気に慧太にぃの事を言う。
ワイルドカッコイイ?
そんな表現に思わず私は笑い出した。
日「え?オレなんか変なこと言った?」
『ゴメンゴメン、私から見たら慧太にぃはそんなんじゃないから、ちょっと面白くて』
日「じゃあ城戸さんから見たら、慧太さんはどんな?」
『どんな?って、慧太にぃはイジワルだし、すぐからかうし、つまんないギャグとか言うし、髭あるし、ロン毛だし、タバコ臭いし、お風呂上りにパンツ1枚とかタオル1枚でウロウロするし、とにかくワイルドカッコイイとかじゃないかも』
私が言い切ると、菅原先輩はお腹を抱えて笑い出す。
不思議に思って見ていると、菅原先輩は、
菅「紡ちゃんのそれってさ、年頃の女の子がお父さんに対して思う事っぽい」
そう言われると、そうなのかも?とも思えてくる。
『とにかく、慧太にぃはそんな感じだよ?』
そう日向君に伝えながら、お弁当に視線を落とした。