第40章 指先が奏でるもの
烏野のみんなと学校へ戻り、繋心や武田先生と明日に備えてのミーティングをした。
町内会バレーの人が青城の試合をビデオに取ってくれたから、繋心は今夜それを見て研究すからって言ってたけど・・・今夜一晩それを見たからと言って青城に勝つための方法って見つかるのかな・・・
相手はあの及川先輩が率いる青城だし、ってダメダメそんな弱気になってちゃ!
・・・及川先輩、か。
あの時、及川先輩はみんなと何を話してたんだろう?
私が繋心を探して連れて来た時には既に及川先輩はあの場にいて。
烏野メンバーの空気も何となく重たい気がしたんだけど。
宣戦布告、とか?
影「・・・い、信号赤だろ!」
『ふぇっ?!・・・あ・・・ゴメン・・・』
考え事をしながら歩いていると急に腕を引かれて驚く。
影「ボケッと歩いてんじゃねぇ、危ねぇだろ」
『だからゴメン、って。それから影山痛いよ、腕もげる』
掴まれた腕を解きながら言えば、そんな事くらいで腕がもげるかボケ!とまた怒られる。
影「何を考えてるのかだいたい予想はつくけど、気にするな。あの人の事は城戸が抱え込まなくていい」
『でも、及川先輩は何を話に来てたの?私は繋心と後から合流したから気になって』
影「単なる明日よろしくな的なアレだ」
『いや、アレだって言われてもさ?気になるじゃん』
影「だから気にすんなって言ってんだよ。明日、及川さんと戦うのは俺達だし。まぁ、城戸もベンチには入れなくても上から参戦するだろ?だから気にすんな。明日の事は澤村さん達もコーチもいろいろ対策立ててくれてるハズだしな」
それはそうかもだけどさ?と返しながら、横断歩道の信号が青に変わり影山と歩き出す。
『あ、そう言えば影山さ?この大会が終わったら私に話すことがあるとか言ってたじゃん?』
何気なくそれを聞けば、影山は一瞬ギクリとした様子を見せて、いつもの相槌と変わらず、あぁ、とだけ言った。
『それってさ?大会が終わらないと聞いちゃダメなやつ?』
もし今聞いてもいい話だったら、今聞くけど?と続ければ影山はチラリと私を見てから黙り込んだ。
こうなると影山に話しかけるの怖いんだよなぁ。
うるせぇ!とか、黙れチビ!とか、それ以上に不機嫌になってたらアイアンクローをお見舞いされるかも・・・って、先が見えてしまう自分にちょっと笑っちゃうけど。