第40章 指先が奏でるもの
~ 国見 side ~
全くあの人はまたかよ。
アレ絶対、烏野に挨拶じゃなくて紡狙いだろ。
今日どうこうしなくなって烏野は明日の対戦相手なんだから。
しょうもな・・・
相変わらずブレる事なく攻めようとする及川さんに呆れつつ、到着したバスに荷物を乗せる。
金「なぁ国見。やっぱ及川さんて城戸のこと狙ってんのか?」
荷物を運び込みながら金田一がチラチラと見ながら言う。
「さぁな。女と見りゃ見境ないからじゃねぇの?それに紡は及川さんなんてアウトオブ眼中だと思うぜ?」
じゃなきゃ、あの雨の日の公園であんなにビビらねぇだろっての。
そもそもがっつき過ぎなんだよ及川さんは。
ま、がっつかなくても紡は及川さんには靡かねぇと思うけどな。
金「そっか・・・なら、まだ大丈夫だな、うん」
「何がだよ」
金「え?いや、まぁ・・・個人的な事情っつーか」
あからさまに誤魔化そうとする金田一になんか腹立つなと思い、言っとくけどな?と話を続ける。
「お前がいくら紡が好きだからって、ナイと思うぜ?」
金「なっ・・・す、好きとか大声で言うな!」
「ばーか。お前の方が声デカイっつーの」
そんなの自暴したら、あぁ、ほら。
花「なになに金田一?もしかして恋愛お悩み中~?」
金「ちっ、違います!」
花「ん~?でも今確かに好きとかなんとか聞こえたんだけど?」
面倒な人が来た・・・
視線でオレに助けを求める金田一を見ないようにして黙々と荷物を積み込んでいると、反対側から岩泉さんがオレの肩を叩く。
岩「国見、悪いがあのバカを引き取って来てくれ」
「及川さんを、ですか?それなら岩泉さんが行った方が簡単なんじゃ?」
そう言うと岩泉さんは1度チラリと及川さんがいる方を見て、またオレを見る。
岩「俺はこっちを纏めとくから、あのバカは頼む。すぐ戻らねぇならブン殴ると言っとけ。それでもダメなら、あの事をバラすって言えば大丈夫だ」
「あの事、って何ですか?」
岩「特にはねぇが、及川は昔っからいろいろやらかしてっからな。特別コレと言わなくも自分に後暗い所があるから言うこと聞くだろ」
それなら尚更オレじゃなくて岩泉さんが行けば話は早いのにと思ったけど、向こうに行けば烏野だけじゃなくて紡もいるからなんだろうと納得して、じゃあ行ってきますと言うと及川さんがいる方へと走る。