第38章 切られた火蓋
みんな揃ったのを確認して、繋心が軽いミーティングをして、この後の試合に備えて早めに軽く食事を済ませておくようにと指示を出した。
私達マネージャー組も用事を済ませて、先に食べ始めているみんなの輪を眺めながら隣同士で床にペタンと腰を下ろせば、そのタイミングで影山が私の前に立った。
見上げればその影山の顔は微妙に怒ってるような気もして、何となく身の危険を感じて腰が引けてくる。
『えっと、な、なに?』
影「城戸、ちょっと来い」
微妙じゃなくて結構不機嫌モード?!
『ど、どこに?』
そう聞き返しながらジリジリと清水先輩の方に体を寄せると、それに気付いた清水先輩が助け舟を出してくれた。
清「影山、私達はこれからになっちゃったけど、ちゃんと軽食は取ったの?食べ終わってるなら試合に備えて体を休めとかないと」
ナイス清水先輩!
さすがに影山も清水先輩からそう言われたらイヤとは言えないよね!
影「軽食はもう終わりました・・・つか、コイツちょっと借りてもいいっスか?」
清「借りるって、どこに連れて行くの?」
影「どこに・・・あの、アレです。つ・・・」
・・・つ?
影「連れションです」
なんだ、連れションか・・・
『はぁっ?!連れションってなに?!なんで?!』
驚きのあまり衝撃発言をしたことは頭の中からスッポリ飛ばして、なんで私がそんな事について行かなきゃなんないの?!と叫ぶ。
清「トイレなら仕方ないわね。影山、早く行って来なさい。澤村、影山トイレ行くって」
澤「了解。大事になる前に済ませて来いよ」
『え?!清水先輩?!っていうか大地さんも!』
いや、そうじゃなくて!
そもそも私がどうして影山のトイレに付き合わなきゃいけないの?!
トイレ付き合って?とか、女子かっ!
なんてツッコミを入れるヒマもなく、影山に早く来いと睨まれてしまう。
影「おい」
『分かったって・・・行けばいいんでしょ、行けば』
開きかけたお弁当箱をまた閉じて、カバンの中にしまい立ち上がる。
月「ひとりでトイレに行けないだとか・・・ダッサ・・・」
山「ツッキー、聞こえちゃうよ!」
影「あぁっ?!」
バッチリ聞こえてるじゃん!
見てよこの影山の黒いオーラ!
それより山口君も月島君のフォローじゃなくて私を助けてよ・・・