第38章 切られた火蓋
~ 影山side ~
1セット目が終わって何気なく城戸がいる方を見上げれば。
アイツ・・・なんで国見なんかと仲良く話してやがる!
だいたい国見は青城だから敵だろうが!
しかも周りには金田一やら及川さんやら・・・あと名前忘れたけど青城のナンパセッター野郎までいやがる。
城戸のヤツ、なに考えてんだよ!
クソっ・・・なんかイライラして来た・・・
日「なぁ影山、2セット目だけどさ」
「あぁっ?!」
日「あ、いえ・・・ナンデモアリマセン・・・」
話しかけて来た日向にそのままの不機嫌さで返事をすれば、日向は顔色を変えて菅原さんの後ろに隠れてしまう。
菅「影山・・・紡ちゃんの事が気になるのは分かるけど、今は試合に集中し・・・うぁっ?!紡ちゃんが青城のヤツからドリンク貰って飲んでる!」
「なっ・・・!!」
菅原さんの声に釣られてまた城戸を見れば、それは確かに・・・国見のマグボトルに口を付けてる城戸がいて。
思わず・・・スクイズボトルを持っていた手に力が入る。
山「うわっ?!影山・・・冷たいよ・・・」
月「ちょっと・・・僕にまでかかるところだったデショ」
山「っていうかツッキー、オレを盾にしたから濡れてないじゃん・・・」
「・・・悪ぃ」
自分のタオルで山口をゴシゴシと拭いてやり、今は余計なことを考えてるヒマはねぇと頭を振る。
繋「影山、次のセットだが・・・日向と東峰を上手く使い分けろ。勝てない相手じゃないが油断は禁物だ。うっかりしてると足元掬われるからな」
「・・・っス」
澤「よし!このままの流れで行くぞ!みんなコートに入れ」
バタバタと足音を鳴らしながらメンバーがコートに入って準備をする。
何気なく見上げた先には城戸がいて・・・遠目に見ても視線が合うのが分かった・・・けど。
・・・笑顔で手なんか振ってんじゃねぇよ!!
日「いま城戸さん、お前に手を振ってなかった?」
ひょこりと覗き込む日向に、僅かばかり動揺しながらも睨む。
日「なんで睨むんだよ!怖いだろ!」
「うっせー黙れ」
澤「2人ともそろそろ集中してくれ・・・じゃないと・・・」
ゾクリとする背中に意識を集め、顔をまっすぐ上げる。
その視界の片隅には、また国見と話をする城戸がいた。