第38章 切られた火蓋

『大地さんのなにを任されたのかイマイチよく分かりませんけど、とりあえず了解しました。えっと、？』

池「あぁ、オレは池尻って言います。大地とは中学で一緒だったんだ」

『そうなんですね。じゃあ池尻さん、試合頑張って下さいね？って言っても、烏野だって負けませんけど』

池「あはは･･･ありがとう。澤村、ちょいちょい」

池尻に耳を貸せと手招きされて、言われるがままに自分の耳を寄せる。

池「やっぱり見れば見るほど澤村の好みにドンピシャじゃん？･･･離すなよ、チャンスを。それからちゃんと最後まで捕まえとけよ？」

「お、おいっ池尻？！」

じゃあな～！と手をヒラヒラさせて立ち去る池尻に、最後の最後に爆弾置いていくなよ！と心の中で叫び声を上げる。

「まったく池尻は･･･」

でも、そんな池尻も･･･俺にとっては大事な友達だからな。

『大地さん、池尻さんはなんて言ってたんですか？』

「あー･･･今のは俺と池尻の秘密っていうか。ま、そんなとこ」

『変な大地さん。なんか１人で赤くなったり青くなったりしてるし』

･･･誰のせいだっての！

「さ、行くか。スガだけじゃどうにもならなくなってても困るし、試合に集中して貰わないとだし」

『ですね』

「そういえばさっき、日向がどうとか言ってなかった？」

『あ、それは･･･』

歩き出しながら聞けば、日向が青城との練習試合の時みたいにガタブルして･･･だとかいう話を聞かされる。

あの時の日向は、ほんと･･･大変だったよなぁ。

もしそれが、今日の試合でもと思うと心配度が急速に上がって行く。

「最悪は･･･紡におまじないして貰うとするか･･･」

『私のってより、そもそもあれは桜太にぃのおまじないですけど』

ま、それでも効果があるなら頼むよ？と笑い返して、みんなが待つ場所までを２人で進んだ。