第12章 超絶?!秘密の特訓開始!
慧「大事なのは、チームプレイっていうカラーに、どれだけ染まれるかって事な。じゃあ、どうやったら染まっていけるかって話になるんだけど。分かるか?」
慧太にぃは黙って2人を見る。
お互いに1点を見たまま、思考を張り巡らせたまま、言葉として出て来ない。
慧太にぃは私と目が合うと、フフ~ンとイジワルにニヤリと笑う。
慧「紡は?」
『えっ?!わ、私?!』
急に質問を振られ、慌てる。
答え出ない?と聞かれれば、私の意見としては答えることは出来る。
けど・・・
桜太にぃに視線を送ると、こんな状態の中でも穏やかに笑いながら視線を返される。
私は迷いながらも、答えた。
『いま、チームプレイっていうカラーに染まるって、言ったけど私は違うんじゃないかな?とかも思った・・・り?』
自信なさげに答えると、影山と日向君は不思議顔で、そして慧太にぃは予想外の答えだという表情を見せた。
『上手く言えないんだけど、カラーに染まるっていうのは、最初から決められた色に合わせるって事でしょ?私はそうじゃないと思う』
チラリと周りを見ると、2人の兄はニコニコしながら私を見て、残る2人は、どういう事だ?と顔を見せながら耳を傾けてくれている。
『チームプレイって言うのが色に例えるなら、染まるんじゃなくて、染める・・・んじゃないかと。例えば最初は真っ白なんだけど、そこに色が集まって、それぞれが自己主張しながらも、いつかひとつの色に辿り着く・・・みたいな?』
慧「ま、及第点だな」
桜「色々と変化をもたらすって辺りは、いい答えだけどね。でも、それも芯の部分で繋がっていないと意味を成さない」
慧「要するに、だ。メンバー同士が胸ぐら取っつかみ合って衝突するのもたまには必要だって、事よ。OK?」
桜「そういうこと。まぁ、今はそこまでの事はなかったけどね。さっきの2人のやり取りはお互いの事を知って、認め合う最初の1歩だよ」
さっき桜太にぃに止められたのは、そういう先読みがあったからなんだ。
お互いを知って、お互いを認め合う・・・か。
勝ちに拘って独裁的なトスでコート上の王様と呼ばれた影山。
バレーがしたくても、仲間に恵まれなかったという日向君。
芯の部分が繋がっているとしたら、それはきっと
【 バレーボールが好きだ 】
って言うことなんだろうな。