第37章 その先にある未来
西「なんでスガさんが照れるんすか?」
澤「ハハッ・・・西谷は、良くも悪くも真っ直ぐな男だからだよ」
菅「そうそう。それにワイルドで」
あ、なんか嫌な予感・・・が。
「「 見習えよ、旭? 」」
パシッと音がなるほどの勢いで大地とスガがオレの背中を叩く。
やっぱりそう来たか・・・
「あのなぁ、オレだっていろいろと、」
『東峰先輩が見習うって、何をですか?』
昇降口までの階段を降りながら途中まで言いかけた時、ちょうど下にいたのか城戸さんがオレたちを見て声を掛けてくる。
菅「紡ちゃん!今日昼休みに教室来たんだって?ちょうどオレいなかったから、会えなくて残念!」
『え?あ、確かに行きましたけど、大地さんに用事だったから、スガさんいなくても別に平気でしたよ?』
菅「そんな寂しいこと言わないでよ紡ちゃんってば・・・」
玉砕しつつあるスガに笑いながらも、ふと西谷の言葉が浮かんで城戸さんの顔をジッと見てしまう。
確かに・・・メガネがない方が、なんて思ってしまう自分がいることに苦笑する。
澤「紡。体育館行ったら渡そうと思ってたんだけど、これ・・・」
『そうでした!私あの時、大地さんにぶつかった場所を見て貰っててメガネのこと忘れてて。預かってくれてありがとうございました』
大地の手からそれを受け取ると、城戸さんがそのままメガネをかける。
西「なぁ、紡。お前ってなんでそんなのかけてんだ?」
『これですか?えっと、う~ん・・・なんでと言われても。説明しにくいというか、なんというか』
西「メガネなくても平気なら、かけなくてもいいんじゃねぇのか?お前、メガネない方がカワイイぞ?」
『えっ?!・・・あ、ありがとう、ございます』
影「いちいち照れてんじゃねーよ。今のは西谷さんのリップサービスだろ」
『うるさい影山!』
飾る言葉もなく率直な意見を言う西谷に、城戸さんが目を泳がせながらほんのりと顔を赤らめていく。
西「それにお前、中学の時とかはメガネなんてしてなかっただろ?オレ、大会とかで何回か北川第一の女バレの試合見た事あるけど」
『これは・・・高校入学前からで、いろいろと事情というか。まぁ、いいじゃないですかオシャレって事で』
一瞬、城戸さんの表情が曇って、この話題を終わらせたいという気持ちが何となく掴めて、話題を変えようと助け舟を出す。