第37章 その先にある未来
~ 東峰side ~
西「旭さーん!!部活行きますよ!!」
「だから、そんなに迎えに来なくてもいいって言ってるのに・・・」
西「なんでですか!オレがそうしたいから来てるだけッスよ!」
毎日ではないにしても、西谷はこうして教室まで迎えに来ることが多い。
「ほら東峰?愛しの後輩君が今日も来てるじゃない。早く準備してあげたら?」
クラスメイトの女子まで、最近はそう言ってクスクスと笑う始末だ。
西「旭さん!はーやーく!」
「あぁもう分かったから」
鞄に荷物を押し込むようにして入れて、教室の入口でソワソワとする西谷の元へ向かう。
菅「やっぱり西谷か!」
教室を出た途端にスガと大地と会い、一気に賑やかさが増した。
西「大地さんにスガさん!旭さんより体育館行くの遅いとかありえないッス!」
澤「言うと思った・・・」
菅「だな。オレの予想通りだよ西谷」
とりあえず行くべ?と言うスガに続いて歩き出す。
西「さっきから気になるんですけど、大地さんが大事そうに手に持ってんのってなんですか?」
ひょこっと1歩前に出た西谷が大地の目の前に立って、その手の中を覗こうとする。
澤「これは、だな・・・まぁ、いろいろと訳が」
西「ってかそれ、紡のメガネじゃないっスか?なんで大地さんが?」
え?
西谷の言葉に釣られて大地の手の中を見れば、それは確かに城戸さんがいつもかけてるやつだと容易に分かった。
「そういえば昼休みの終わりに影山と廊下を走ってるのを見掛けたけど、あれは大地のところに来てたのか?」
澤「あぁ。大会に向けて足りないものはないか?とか聞きに来てたんだ。その時ちょっと、いろいろあって、だな・・・ハハッ」
いろいろって、なんだ?
城戸さんがメガネを忘れるとか・・・授業はどうしたんだ?
西「でも、紡はどうして伊達メガネなんかしてるんすかね?そんなものかけなくても、普通にカワイイと思うんすけどオレ」
「「「 カワイイ?! 」」」
サラリとそんなワードを口にする西谷に、オレたちは3人で声を揃えてしまう。
西「なんでそんなに驚くんですか?オレ、普通に紡はカワイイと思いますけど?スガさんだって、そう思ってるから紡にいつも構うんじゃないんですか?」
菅「そりゃそうだけど、西谷がストレートにそういう事を言うと、なんか照れるって言うか」