第37章 その先にある未来
~ 菅原side ~
やーっと午後の授業が終わって、グンッと伸びをしてから手荷物を纏めて席を立つ。
昼休みに紡ちゃんと影山が教室に来たらしいんだけど、オレはその場にいなくて会えなかったから部活が待ち遠しいよ。
って事で。
「大地ー!早く部活行くべ!」
澤「あ、おぅ・・・そう、だな」
「なんだよ歯切れの悪い返事しちゃってさ。なんか用事でもあんのか?」
微妙な顔をする大地を覗き込めば、実は・・・と大地がポケットから丁寧にハンカチに包まれた何かを取り出した。
「なにそれ?そんな大事に包んじゃったりして」
澤「いや、その・・・これは・・・」
ボソボソと大地らしくもなく言いながら、ハンカチを摘んで開いていく。
っていうか、これって!
「紡ちゃんの・・・だよね?」
澤「まぁ、そうだな」
そうだなって、どんな経緯でこれが大地の手元にあるんだよ?!
そう詰め寄ると大地は、実は・・・と紡ちゃんのメガネを外した理由を話してくれる。
澤「それで予鈴が鳴ったから早く教室に戻れよって2人を帰したんだけど、自分が教室に入った後に、これを返すのを忘れてる事に気がついて・・・だな」
「じゃあ紡ちゃんは午後の授業受けるのにメガネなしだったって事?それってホントは困ったんじゃないの?」
澤「いや、俺もそう思ったんだけどさ。でもこれ、度が入ってないっていうか、ね」
「え?じゃあ、それっていわゆる・・・?」
澤「・・・ぽいな。そう考えると今までも紡がメガネ外してる所を何度か見てるし、とりあえずは部活の時間になったら会えるしとか・・・思ってはいたんだけど」
大地の言う通り、そういえばと考えれば部活の紅白戦や、女バレの・・・とかを思い出せばメガネをしてなかった時もあったよなぁ・・・なんてオレも納得はする。
けど、じゃあなんで大地は紡ちゃんに返すのを考え込んでたんだ?
普通に、はい、忘れ物だよ?なんて言いながら返せば済むはずなのに。
「とりあえず体育館行けば紡ちゃんも来るんだから、さっさと行くべ!遅れると西谷が騒ぎ出すだろ?」
澤「・・・だな。旭より遅いと西谷がうるさいからな」
そう言いながらオレたちはカバンを肩に掛けながら教室を出た。