第37章 その先にある未来
一部始終をそばで見ていた道宮先輩までも笑い出し、ですよね?と私も道宮先輩の顔を見上げて・・・気付く。
『道宮先輩!それどうしたんですか?!ほっぺに手形が!』
まるで両頬をパチンと叩かれたかのようにくっきりと赤く手型か残っているの指差しながら言えば、道宮先輩は、ちょっと気合いを・・・なんて呟きながらガシガシと頬を擦った。
『気合いって・・・まさか大地さんが?!ダメですよ大地さんみたいに大きな手でそんな事したら!道宮先輩は女の子なんですよ?!』
澤「えっ?!いや、これは違うって!誤解だ誤解!」
『でもあんなにくっきりと跡が残ってるのに』
澤「ホントに違うって。そうだ・・・ほら見て!俺の手型じゃないだろ?!」
慌てながら道宮先輩の頬に両手のひらを合わせて見せる澤村先輩に、今度は道宮先輩がタジタジとし始める。
道「ちょ、澤村?!」
澤「道宮からも説明して?!これは俺がやったんじゃないってさ」
道「わ、分かった!分かったから、その・・・」
あれ・・・?
急激に顔を赤らめていく道宮先輩の目が泳ぎだし、体を捩るようにしながら少しづつ後ずさりをする様子に・・・なんだか・・・これって・・・?とひとつの考えが浮かんで行く。
道「城戸、さん?!これはさっき私と澤村が話してる時に、自分で自分に気合いをって・・・」
『大地さん・・・本当ですか?』
澤「だから本当だって!ほら見て!明らかに俺の手の跡じゃないだろ?」
そう言いながら澤村先輩が、道宮先輩の両頬の手の跡に自分の手を重ね合わせる。
道「さ、澤村?!」
澤「な?・・・違うだろ?!」
『まぁ、確かにそうですね・・・大地さんの手にすっぽり入っちゃう感じは、違うかも』
勘違いしちゃってごめんなさい!と大きく頭を下げながらも、道宮先輩が爆発してしまいそうな程に顔を真っ赤にしているのを見て・・・
道宮先輩って、もしかして・・・?
そう考えると、今までのやり取りの中で腑に落ちる事が幾つかある。
道「と、とりあえず壮行会の部長挨拶頑張ろうね!じゃ!」
バタバタと教室に戻って行く道宮先輩の後ろ姿を見送りながら、澤村先輩も、おぅ!とひとつ返事をして息を吐いた。
澤「それにしても道宮、あんなに恥ずかしがらなくてもいいのに。同中なんだし。な、そう思うだろ?」
えー・・・そこですか?