第37章 その先にある未来
いつもはツッキーに、そんなの美味しくもなんともないとか言われたりするから。
「じゃ、オレ帰るね」
『送ってくれてホントにありがとう。山口君、また明日ね?』
バイバイ、と玄関の前で手を振る城戸さんにオレも同じように手を振り返す。
そんな事がなんだか少し・・・照れくさくて、2人で歩いて来た道を早足で進んでしまう。
なんか、いいな・・・こういう感じ。
影山はいつも、こんな擽ったい気持ちで城戸さんと歩いてるんだ。
ちょっとだけ・・・ホントにちょっとだけだけど、羨ましいかも。
あ、いや、べ、別に毎日ツッキーとだからって訳じゃないけど!
たまには、こんな日があってもいいな。
なんて思いながら、楽しかった道のりを思い出してはニヤケそうになる顔を堪えて歩く。
明日からは、部活が終わったら嶋田さんとの特訓がある。
嶋田さんのお店の都合もあるから、毎日出来る訳じゃないけど、それでもオレは頑張りたい。
よしっ!頑張るぞ!!
両手でパンッ!と顔を叩いて、その手をそのままグッと握り締める。
「オレだって、きっとやれば出来る」
誰に聞かせる為でもなく呟いて、嶋田さんの所へ行く時よりも数段軽くなった足を前に進めた。