第37章 その先にある未来
山「オレ、ですか?」
嶋「他にいないだろ?本当は買い物終わったら優しくて紳士なオレが送って行きたいところだけど、店の片付けあるからオレの代わりに、な?」
送って、って・・・
『あの、私ならひとりで帰れますから大丈夫です。山口君だって遠回りになっちゃうし、今なら急げば、どっかそこら辺で影山が歩いてるかもだから』
肉まん食べながらみんなと話とかしてたら、もしかしたら途中で遭遇するかもだからと言えば、嶋田さんはそれでもダメだと念を押す。
嶋「もしそうだとしても、そこまでは女の子をひとり歩きさせる程、オレはアホじゃないから・・・繋心とは違うのよ?オッケー?」
『あ、はい・・・』
営業スマイルをキラリと光らせる嶋田さんにそれ以上NOとは言えず、半ば押し切られる形で山口君に帰りは送って貰うことになってしまった。
ごめんね?と苦笑を向ければ、山口君も小さく首を振って返してくれて、じゃあ早く買い物を済ませなければ・・・と早足で店内を歩き会計を済ませた。
『ホントにすみません、閉店作業があるのに買い物させて貰って』
嶋「平気平気、これも接客サービスだからね。それからこれはオマケ。帰りながら2人でどうぞ?」
レジカウンターから出て来た嶋田さんが、ポンッと手のひらに乗せたのは、飲みきりサイズのオレンジジュースがふたつ。
嶋「これくらいなら晩飯には響かないだろ?」
『なんか、いろいろとありがとうございます』
嶋「また買い物に来てくれたらオッケーだからさ、ほら・・・遅くなる前に早く帰りな?」
山口君の所まで一緒に出て来てくれた嶋田さんにお礼を言って、お店を後にした。
歩き始めて少し経つと、山口君がチラチラと私を見ている事に気がついた。
それもそのはずで、お店を出てからお互いに無言で歩いてるし、きっと山口君は会話の切り口を探しているのかな?とも思えた。
確かに黙って歩き続けるのも変だし、かと言って・・・何を話せばいいんだろうかと考えるも、共通の話題って言えばクラスも違うし、そうなると部活の事くらいしか浮かばない。
山「あ、あのさ城戸さん!さっきの、だけど・・・」
どうしたものかと思い始めた時、山口君の方から声をかけられて、ふと、足を止めた。