第37章 その先にある未来
繋心のお店に寄り道をすると言うみんなと別れて、ひとり嶋田マートへと向かった。
影山は着いて来るって言ってたけど、嶋田マートくらい大丈夫だからとやんわり断って・・・ちょっと不機嫌な顔をした影山と目を合わせないようにするのは必死だった。
閉店までに間に合うかな?と心做しか早足になりながらも漸くお店の前まで来てみれば。
あの後ろ姿って、もしかして・・・山口君?
そう言えば坂ノ下商店の前には月島君しかいなかったし、何より肩から下げているカバンは山口君がいつも持ち歩いている物だと確信する。
ちょこんと中を覗き見れば、山口君は嶋田さんと何かを話していて。
声こそは聞こえないけど、私から見える嶋田さんの表情らして、今は店内に入らないようがいい気もして・・・自動ドアの横の壁に身を寄せた。
って、これじゃなんか私がコソコソしてるみたいだよ!
話し終わった山口君と顔合わせて、なんだか盗み聞きしてたと思われるのも嫌だし、今日はお菓子を諦めて牛乳も売り切れだったとか言って帰ろうかな。
その方が・・・いいよね?
うん、とひとり頷いて壁に預けていた背中を起こしあげれば、同時に開く嶋田マートの自動ドア。
嶋「高校生といえど帰り道には気をつけろよ?とりあえずさっきの話は、まぁ、オレとしても出来る限りの事は協力するからさ?ただし、店の仕事が終わってからな?」
山「は、はい!ありがとうございま・・・え、城戸さん?!」
嶋「え?あ、ホントだ。もしかして、一緒に来てた?」
『あ、えっとそうじゃなくて。私は兄に買い物頼まれてたから来たんですけど、深刻そうな顔でお話されてたので入りにくくて・・・アハハ・・・』
どうしようか迷ってるなら、早く帰ってしまえば良かったと思うのも、時すでに遅く。
山「あ・・・オレのせい・・・」
『違う違う!たまたま今日、ここで買い物しようと思っただけで、大丈夫!お店閉まるなら他に行くし!』
手のひらをブンブンと振りながら言えば、嶋田さんが笑い出す。
嶋「確かに閉店の時間ではあるけど、せっかく来たんだから買い物して行きなよ?」
『いいんですか?』
嶋「いいよ。繋心の店じゃなくてウチに来たって事は、例のアレだろ?」
う・・・バレてる。
『すみません、じゃあ・・・お邪魔します』
嶋「あぁ、そうだ。お前さんはちょっと待ってな?」